机の周りの環境を、些かでも改善せねばと掃除に取り掛かってみる。何が入っているのか検討もつかぬ紙箱がいくつかあって、「明けてびっくり玉手箱」状態だ。古い年賀状の束であったり、万年筆や全く遣わなくなった製図道具や、古い新聞の切り抜き、平凡とか明星とかの付録だろうと思われる楽譜つきの歌詞本等々である。そんな中にHEMMIの計算尺があった。設計や積算に関わってきた私には、計算尺はきっても切れない存在であった。精度は三桁くらいのものだが、乗除の計算はこれでやった。位取りを頭で計算しながらカーソルを動かして答えを導く。加減計算はソロバンでと相成る。手回し計算機が登場し、真空管式の計算機、そしてカシオ、現在の計算機へと替わりに変わった。かすかにきしむカーソルを動かすと、35~40年前の事が走馬灯のように思い出される。きれいに掃除をしてまた箱に収めた。
HEMMIの創業者は熊本出身の大塚氏、清酒月桂冠の大倉家に入り後逸見(へんみ)氏と共にこの計算尺を作り上げている。今は需要も無いのだろう製造を止められて、全くの異業種へ転進しておられる。
HEMMIの創業者は熊本出身の大塚氏、清酒月桂冠の大倉家に入り後逸見(へんみ)氏と共にこの計算尺を作り上げている。今は需要も無いのだろう製造を止められて、全くの異業種へ転進しておられる。