細川藩の筆頭家老松井氏は、熊本城下から12里離れた八代の城主でもある。
緊急の事があれば飛脚が走るが、ある資料によると四人の継飛脚によって熊本へ届けられている。
江戸に於いて藩主が死去した際などには、国許への報告など藩士が命がけでその任についているが、別途早飛脚が送られたりもしている。
私が知る限りでは、護樹公の次の藩主の決定に関わる大事を、江戸に報告するために熊本ー江戸間を八日で駆けた杉浦仁一郎ではないかと思うが、これは飛脚ではない。江戸から遠く離れた熊本への情報伝達がどのように行われたのか、興味深い。
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江戸の飛脚―人と馬による情報通信史 |
教育評論社 |
目次
- 第一章 「飛脚」誕生の歴史
- 第二章 列島をめぐる江戸期の飛脚
- 第三章 三都の飛脚問屋
- 第四章 飛脚ネットワーク
- 第五章 飛脚問屋と奉公人たち
- 第六章 輸送システムと飛脚利用
- 第七章 飛脚の金融機能
- 第八章 ニュースを伝える飛脚
- 第九章 飛脚事件簿
- 第十章 幕末維新期の飛脚
著者紹介
巻島 隆 (まきしま たかし)
1966年、東京生まれ。地方紙記者。放送大学卒業、信州大学・群馬大学大学院修士課程修了、高崎経済大学大学院博士後期課程修了。2010年、高崎経済大学博士(学術)。博士論文は「近世における飛脚問屋の研究―情報・金融・流通・文化の地域間交流」。2008年、石川薫記念地域文化賞(奨励賞)受賞。2014年、群馬大学社会情報学部非常勤講師(前期)。
共著に、桐生文化史談会編『桐生佐野氏と戦国社会』(岩田書院、2007年)、熊倉浩靖編『群馬県謎解き散歩』(新人物往来社、2013年)、ほろよいブックス編集部編『酒運び―情報と文化をむすぶ交流の酒』(社会評論社、2013年)など。
主な論文に、「江戸後期、上州桐生新町の定飛脚問屋について―京屋と嶋屋」(地方史研究309号、2004年)、「上州の飛脚問屋について―輸送・金融・情報」(地方史研究協議会編『交流の地域史―群馬の山・川・道』雄山閣、2005年所収)、「近世後期における主要街道の飛脚取次所―定飛脚問屋『京屋』のネットワーク」(和泉清司編『近世・近代における地域社会の展開』岩田書院、2010年所収)、など。