一、夫より御用人猶案内有之、不老人門御杉戸外之六枚屏風之外ニ南御敷居際ニ脱剣、尤御一門衆一所三家同、其外同
右之通段々ニ抜置御杉戸御敷居外ニ而御辞儀 陽春御居間之御敷居内ニ御左頭ニ南西之様打廻候、擦入平伏仕居相揃
一同ニ御辞儀御一ト通り被為在御意御手熨斗御古のし被下候間、頂戴之仕左へ開半已上ハ南御入側板敷伝退去半以
下ハ直ニ次之御間之様ニ退去 元之御杉戸 口之様ニ引取竹之御間ニハ御近習一手坐着いたし居候得共、出入二致会
尺ニ不及直ニ帯剣且且詰間江参候事
それより猶ご用人より案内があり、不老人門御杉戸の外の六枚屏風の外に南御敷居際に脱剣し、御一門衆一所に、三家老家も同様に右の通
り段々に抜き置き、御杉戸御敷居外にてお辞儀、陽春御居間の御敷居内に御左頭ニ南西の様に打廻ること、擦入って平伏し相揃って一同に
御辞儀一ト通りご挨拶があり、お手から熨斗御古のし下さる、これを頂戴し左へ開き、半已上ハ南御入側板敷を伝い退去、半以下ハ直ニ次
の御間の様に退去、元の御杉戸 口の様に引取り、竹の御間には御近習一手坐着しているが、出入に会尺はするに及ばず、直に剣をつけ詰間
へ参ること
但御居間御敷居外ニて平伏仕居候時、是江と御意も被為在候得共、大勢一同ニ罷出候間御意を伺居候而者、
被遊御待候間帳口ニて之人江随、且々御同間へ摺入候、且又御杉戸ハ始ニ御用人より明、皆罷出候跡御用人
よりセキ置候得ハ御前より退却之節御一門衆より明被申尤引取候節末席より跡せき致すに不及候事
御居間の敷居の外で平伏している時、こちらに入るようにとの仰せがある事があれども、大勢が一堂にまかり出て仰せを伺うに付いて
は、御待ちになっておられるので、帳口にて人に随いかつがつ同お間へ摺り入り、お杉戸は初めに用人が明け、皆がまかり出た後用人
がせき(閉め)置くので、御前から退出の時には御一門衆から明けられ、引き取る時末席の者は跡せき(熊本弁)するには及ばない事
一、御備頭御留守居大頭其外例之御役人詰間江罷出、今日ハ佐野之御間ニてハなし 御用番江謁候事 御備頭大頭ハ嘉
永五年之節より佐野之御間ニて謁を受候ニ究
御備頭・御留守居大頭その外の例の御役人詰間へ罷り出、今日は佐野之御間ではなく、御用番へ謁する事、御備頭・大頭は嘉永五年之の節
より佐野の御間にて謁を受けることに究る
但御備頭之内二人ハ壱里山江罷出候へとも御殿江者三人一同ニ罷出謁有之候事
但し御備頭の内二人は壱里山(不詳)へ罷出 候へとも御殿江者三人一同ニ罷出謁有之候事
一、御供之御小姓頭御奉行御用人御目附 詰間江出方有之候事
御供の御小姓頭・御奉行・御用人・御目附 詰間へ出方があること
但右御用人江者御隠居様若殿様江戸京都 上々様御意傳有之候得共、例之通御一門衆初於詰間奉窺直ニ其人
江御禮申上候、右者前以様子不相替候間廻文等無之其身より申出候て相成候事
右の御用人へは御隠居様・若殿様・江戸京都および上々様への御意を伝えて有るけれ共、例の通、御一門衆初め詰間において直に其人
へ伺い御禮を申上る事、これは前以て様子が替らないので廻文等は無く、其身より申出ること
一、闕席之面々并隠居より之使者差出ニ相成候間、例之通御用番江於口間謁を受候事
欠席の人々また隠居よりの使者を差し出すことについては、例の通り御用番へ口の間に於いて謁を受けること
一、右使者差出候稜付例之通上文箱ニ入、坊主江持せ御用人江遣候事
この使者を差し出すについては例の通り文箱に入れて、坊主にもたせ用人へ遣わすこと
一、夕八時暮候上御一門衆同席中猶又中柱御間江罷出御用人江奉伺御機嫌左候而御用を聞退出候事
夕方八つ時(?)暮れた上で、御一門衆・同席中なお又中柱の間へまかり出て用人へご機嫌伺い、そして御用を聞いて退出すること
一、御着坐之即日江戸江之雇飛脚小倉路ニ十四時中國路七日東海道六日限ニて被差立候、尤御用済置候へハ翌日ニ相成
候事
ご到着のその日に江戸の雇飛脚は小倉路を二十四時(?)、中国路を七日、東海道を六日を限りに出発、もっとも御用が済んでおれば翌日
になること
但右之通可被仰付哉之書付御奉行より御用番江相伺候間其通及指図候事
右の通りに仰せつけられるについての書付はお奉行より御用番へ伺いその通りに指図あること
一、当年御手当請持之書付御用番より御用人を以差上候事
当年の御手当の受け持ちの書付は御用番より用人をもって差し上げらること
但毎御着坐之即日差上候事
但し、毎回お着座の即日に差し上げらる事
一、杭場御目見之儀者御発駕之通りニ候、尤御物頭列以上麻上下着御花畑江出仕御郡代已下組ニ不入御中小姓迄ハ御目
見ニ罷出候着服之侭ニて御家老御中老廻り有之候事
杭場(お迎えの指定場所)でお目見することは御発駕の時と同様である、御物頭列以上麻上下(裃)を着けお花畑へ出仕し、御郡代以下組
に入らぬ御中小姓まではお目見に罷り出た時の服装のままにてご家老・お中老廻りがあること
但御家督初而之節ハ麻上下ニて候之事
ご家督後初めての時は麻上下にてのこと
一、御中老以上直隠居之面々江者御着座即日御尋として御用人より奉札仕出有之候、左候得ハ御請返書相済候上当番之
御用人宅へ御礼として使者麻上下着差出候事
御中老以上直に隠居の人たちにはお着座のその日に、お尋ねとして用人より札を仕出し奉ることがある、そうすれば御受けの返書を済ませ
て、番の用人宅へお礼として麻上下の使者を差し出すこと
(了)
私はあまり人が持たないと思う「MUNELL BOOK OF COLOR」とか、大日本インキ化学の「日本の伝統色」そして「日本の伝統色・色名辞典」などという物を持っている。
時折眺めては、日本人で良かったとしみじみ思うのである。
一斤染(いっこんぞめ)、路考茶、刈安、海松、麴塵(きくじん)、瓶覗、納戸、新橋などなど・・・名前の由来とその背景を知るだけでも、古の人たちのなんと心豊かであった事だろうと思うのである。
このような色は、ただ色見本長の中に存在するのではなく、私たちの身近にあるのを気が付いていないだけの話である。
ソフトカバーという手軽さと、1,980円(税込み)という値段でこの写真集を手にして贅沢が味わえればいうことなし・・・
俳句が添えられているのが何ともうれしい。
内容紹介
日本には、目の醒めるような色がある!「第3回写真出版賞」大賞受賞作。空の色、風の色、雲の色、水の色、草木の色……。
景勝地、日光の季節がうつろう105点の写真と、それぞれの風景のなかに浮かび上がる日本の伝統色105点を掲載した、色の図鑑。
古来、日本人が自然の中から生み出し、染色技術の発展とともに育んできた多くの色は、桜色(さくらいろ)、茜色(あかねいろ)、
萌黄色(もえぎいろ)のように身近な植物から生まれ、いまも私たちの暮らしのなかに息づいています。さらにこの国には、思色(お
もいいろ)、椋実色(むくみのいろ)、掻練(かいねり)といった、あまり知られていない繊細でゆかしいあまたな色があふれています。
そうした伝統色と色名のゆかしさを、写真に添えて紹介。
著者による色の解説や、著者自ら詠んだ俳句も掲載し、詩人・永方佑樹の詩も寄り添った、贅沢な仕上がりの一冊です。