津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■かにかくに・・

2022-10-01 15:17:01 | 徒然

 処分しようと古い大学ノートをめくっていたら、下の歌が書かれてあった。なんで又という思いがある。           

           かにかくに渋谷村は恋しかり おもいでの山おもいでの川   啄木

石川啄木の「一握の砂」にある有名な句、中学時代「かにかく」つて何?と思いながらも諳んじていた。この歌が好きだという友達の影響を受けている。
内容的にはなんでもない望郷の歌のように思えるが、とにかく「かにかく」が効いている。意味は「あれこれと。何かにつけて。」

 「かにかく」といえば、京都祇園を愛してやまなかった吉井勇を偲んで、京都では「かにかく祭」なるものが催されるそうだが、勇の句碑に舞妓さんがお詣りするのだそうな。
それこそ一昨日のブログ「徒然なかはなし」にあった「だらりの帯の家紋」の舞妓さんたちが沢山集われたのだろう。京都の文化は豊かで羨ましい。

              かにかくに祇園は恋し寝る時も 枕の下を水の流るる   

こちらの「かにかく」は啄木とは随分様子を異にしている。啄木は苦学生、勇は華族さま、しかし二人は同時代の人で啄木が命尽きる迄のわずかな時期、大変親しかったという。
また、勇が通ったという「喫茶ソワレ」には、店先に彼の歌が表示されているそうだ。

              珈琲の香にむせびたるゆうべより 夢みるひととなりにけらしな   勇

これはもう10年以上前、ご厚誼いただいていたがお会いした事のないY氏が奥様と京都を旅し「ここを訪ねてひと時を過ごしてきました」とメールをいただき、そのことを知った。
良いご趣味だ。某藩主家の御一族だと御見受けした。
10年前のニュースだから確認してみると、まだ営業を続けて居られるらしい。文学趣味の方で大賑わいのお店らしい。
          

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■會(会)氏の出自

2022-10-01 06:25:34 | 人物

 落語家の三遊亭円楽さんが亡くなった。ご冥福をお祈り申し上げる。72歳は早すぎるし、落語会統一という夢が潰えた。
円生の名跡を継ぎたいと公言して憚らなかったが、これ叶わなかった。円楽も円生もしばらくは落語界には存在しないことになる。

 私は時折ユーチュブで落語を楽しんでいるが、円楽さんの「芝濱」はよく聞いた。
処で、円楽さんの姓は「會(あい)」氏である。NHKの「日本人のお名前」に出演して、自ら語られていたのを思い出す。
ご本人は東京の生まれだが、お父さんが「隠岐」のご出身という。某メディアが「江戸っ子」と書いていたがそれは違う。
その時の話をメモしていいるが、「かいさんですか」と電話がかかると「違います」と言って切ったり、長男にお嫁さんが来るとき「まずいんじゃないかい」と言ったと言う。お嫁さんの名前は「愛さん」、「あいあい」はまずいだろうという落ちがあった。
日本姓氏語源辞典というサイトがあるが、1・東京都(約10人) 2・神奈川県(ごく少数)などとしていて、円楽さんがその「會」氏である事を御存知ないらしい。(この際慌てて書き込みがあるかもしれない)
円楽さんはまだ「楽太郎」時代、お父さんやその出自である島根のことに就いて語る「私と島根-父の島・隠岐」という貴重な一文がある。

 志ん朝や談志亡き後、落語会をけん引してきた名人がまた一人消えた。

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