Sightsong

自縄自縛日記

水野直樹・文京洙『在日朝鮮人 歴史と現在』

2015-02-02 09:36:11 | 韓国・朝鮮

ウランバートルに来る機内で、水野直樹・文京洙『在日朝鮮人 歴史と現在』(岩波新書、2015年)を読む。著者の文京洙さんには、『済州島四・三事件』という著作もある。

韓国併合(1910年)から日本の敗戦・解放(1945年)を経て現在にいたる、在日コリアンの通史である。

関東大震災後の朝鮮人虐殺(1923年)、植民地朝鮮の産業育成のねらい(それを良しとする結果論があまりにも歪んでいること)、朝鮮人強制連行の「狭義の強制性」という言説の空疎さ、解放後の移動、日米による棄民化政策、北朝鮮帰国運動の歴史的意味、在日朝鮮人文学の意義などがよくまとめられており、こうして通して読むと得るところが大きい。良書、推薦。

敢えて言えば(通史ゆえ、それは無い物ねだりなのだろうけれど)、創氏改名と通名についての経緯、張赫宙の国策への協力、日本への帰化と永住権取得の選択についての悩み、韓国人・他の朝鮮族と在日コリアンとの意識の違い、拉致問題の政策への取り込みについても触れてほしかったところ。

●参照
植民地文化学会・フォーラム『「在日」とは何か』
鈴木道彦『越境の時 一九六〇年代と在日』
野村進『コリアン世界の旅』
尹健次『思想体験の交錯』
『情況』の、尹健次『思想体験の交錯』特集
尹健次『民族幻想の蹉跌』
朴三石『知っていますか、朝鮮学校』
朴三石『教育を受ける権利と朝鮮学校』
朴三石『海外コリアン』、ラウレンティー・ソン『フルンゼ実験農場』『コレサラム』
『世界』の「韓国併合100年」特集
徐京植『ディアスポラ紀行』
外村大『朝鮮人強制連行』
朝鮮族の交流会
金賛汀『異邦人は君ヶ代丸に乗って』
藤田綾子『大阪「鶴橋」物語』
『東京のコリアン・タウン 枝川物語』
道岸勝一『ある日』
枝川でのシンポジウム「高校無償化からの排除、助成金停止 教育における民族差別を許さない」
テッサ・モーリス=スズキ『北朝鮮へのエクソダス』
菊池嘉晃『北朝鮮帰国事業』、50年近く前のピースの空箱と色褪せた写真
尹東柱『空と風と星と詩』
安宇植『金史良』
金史良『光の中に』
青空文庫の金史良
金達寿『わがアリランの歌』(金史良との交流)
『金達寿小説集』
金達寿『玄海灘』
金達寿『朴達の裁判』
金達寿『わがアリランの歌』
李恢成『またふたたびの道/砧をうつ女』
李恢成『流域へ』
李恢成『沈黙と海―北であれ南であれわが祖国Ⅰ―』
李恢成『円の中の子供―北であれ南であれわが祖国Ⅱ―』
『海鳴りの果てに~言葉・祈り・死者たち~』
『海鳴りのなかを~詩人・金時鐘の60年』
金時鐘『境界の詩 猪飼野詩集/光州詩片』
細見和之『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』
文京洙『済州島四・三事件』
『済州島四・三事件 記憶と真実』、『悲劇の島チェジュ』
オ・ミヨル『チスル』、済州島四・三事件、金石範
済州島四・三事件と江汀海軍基地問題 入門編
金石範講演会「文学の闘争/闘争の文学」
金石範『万徳幽霊奇譚・詐欺師』 済州島のフォークロア
金石範『新編「在日」の思想』
梁石日『魂の流れゆく果て』
朴重鎬『にっぽん村のヨプチョン』
金芝河のレコード『詩と唄と言葉』
仲里効『悲しき亜言語帯』
井筒和幸『パッチギ!』
井筒和幸『パッチギ!Love & Peace』
林海象『大阪ラブ&ソウル』
大島渚『忘れられた皇軍』
荒井英郎+京極高英『朝鮮の子』
阪本順治『KT』 金大中事件の映画
T・K生『韓国からの通信』、川本博康『今こそ自由を!金大中氏らを救おう』