Sightsong

自縄自縛日記

スティーヴ・リーマンのデュオとトリオ

2015-02-27 07:50:32 | アヴァンギャルド・ジャズ

スティーヴ・コールマン~グレッグ・オズビー~ルドレシュ・マハンサッパというアルト吹きの系譜に連なるスティーヴ・リーマン。朝早く目が覚めてしまったこともあり、かれのデュオとトリオを聴いて脳を覚醒させる。

■ 『Kaleidoscope and Collage』(Intakt Records、2010年)

Steve Lehman (as)
Stephan Crump (b)

ステファン・クランプとの共同作。クランプのよく響くベースは、ときにギターのようでもあり、ときにパーカッションになっている。

リーマンは最初はじわじわと抑え目に吹いているが、次第に暴れ始める。とくにイントロあたりのフレージングにはヘンリー・スレッギル的なものを感じるのだがどうか。丁寧かつ精密に理知的なフレーズを積み上げていき、その自ら作り上げたステージ上で躍りまくる感覚である。悶えるほどカッコいいのに、手の内をすべては明かさないでじらすリーマン。

■ 『Dialect Fluorescent』(Pi Recordings、2011年)

Steve Lehman (as)
Matt Brewer (b)
Damion Reid (ds)

ピアノレスのサックス・トリオというのは、サックスがアウトしてもコードを支配するピアノが不在であるだけ自由な感覚があって、実は好みである(ソニー・ロリンズ、ジョー・ヘンダーソン、オーネット・コールマンらのトリオでの名盤を思い出すたびに聴きたくなってしまう)。

そんなわけで、これもまた素晴らしいのだ。ここでもリーマンは抑え気味に聴く者をじらす。ちょっと、ぶっきら棒なところが、テナーのゲイリー・トーマスの音色を思い出させるのだがどうだろう。そして、リーマンは偏執的に積み上げては暴れる。

ジョン・コルトレーンの「Moment's Notice」やデューク・ピアソンの「Jeannie」という名曲の演奏も嬉しいのだが、リーマンの演奏そのものが価値であるから、ジャズ・スタンダードをこのように解釈したという愉快さはとくにない。とはいえ、かつてスティーヴ・コールマンが急に「'Round Midnight」を吹き始めてぞくりとしたときのような感覚も覚える(もう手元にない。どの盤だっけ)。

●参照
ステファン・クランプ+メアリー・ハルヴァーソン『Super Eight』