ふと棚にあったことを思い出して、飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』(puff up、1990年)を聴いている。
Akira Iijima 飯島晃 (g)
Tatsuo Kondo 近藤達郎 (accordion, harmonica)
Masami Shinoda 篠田昌已 (ss)
Yuriko Mukojima 向島ゆり子 (vln)
Kazuto Shimizu 清水一登 (vib)
Reichi れいち (perc)
というのも、以前に聴いたときにピンとこなかったからなのだが、あらためて静かな気持ちで耳を傾けてみる。
弦を静かに弾いて、間の響きと流れを作りだしている、飯島晃のギター。萩原朔太郎『猫町』や宮沢賢治『銀河鉄道の夜』のように、時間がその空間独自の論理で恣意的に進められているようで、思わず息をひそめてしまう。向島ゆり子の強度のあるヴァイオリン、透明感があると同時に濁ってもいる、篠田昌已のソプラノサックス。澄んでいて割れもする、清水一登のヴァイブ。かれらが現れては、心に残る表情を残して去っていく。
実はそこには異次元への入口があり、入ってみると、宝物のような音楽世界があった。