Sightsong

自縄自縛日記

飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』

2016-03-04 07:54:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

ふと棚にあったことを思い出して、飯島晃『コンボ・ラキアスの音楽帖』(puff up、1990年)を聴いている。

Akira Iijima 飯島晃 (g)
Tatsuo Kondo 近藤達郎 (accordion, harmonica)
Masami Shinoda 篠田昌已 (ss)
Yuriko Mukojima 向島ゆり子 (vln)
Kazuto Shimizu 清水一登 (vib)
Reichi れいち (perc)

というのも、以前に聴いたときにピンとこなかったからなのだが、あらためて静かな気持ちで耳を傾けてみる。

弦を静かに弾いて、間の響きと流れを作りだしている、飯島晃のギター。萩原朔太郎『猫町』や宮沢賢治『銀河鉄道の夜』のように、時間がその空間独自の論理で恣意的に進められているようで、思わず息をひそめてしまう。向島ゆり子の強度のあるヴァイオリン、透明感があると同時に濁ってもいる、篠田昌已のソプラノサックス。澄んでいて割れもする、清水一登のヴァイブ。かれらが現れては、心に残る表情を残して去っていく。

実はそこには異次元への入口があり、入ってみると、宝物のような音楽世界があった。


竹本真雄『熾火/鱗啾』

2016-03-04 07:29:25 | 沖縄

竹本真雄『熾火/鱗啾』(沖縄タイムス社、2015年)を読む。

 「熾火」、「鱗啾」ともに、少年時代のハブとの関わりを回顧した形の小説である。

少年の、行き場を見つけられない呪いと、生への渇望がある。咬まれるだけで向こう側の世界に連れていかれるというハブへの畏怖が、少年の念を引き寄せる。少年の皮膚とハブの皮膚とを通じて、生と死との往来がなされてゆく。