Sightsong

自縄自縛日記

AAS@なってるハウス

2016-03-14 07:51:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウスに足を運び、AASを観る(2016/3/13)。

Hideki Tachibana 立花秀輝 (as)
Koichi Yamaguchi 山口コーイチ (p)
Yutaka Kaido カイドーユタカ (b)
Jun Isobe 磯部潤 (ds)

コルトレーンの「Crescent」。やはりと言うべきか、最初のひと吹きから音圧が高くのけぞる。固いリードを使ってのパワープレイ、ときには頬や喉のまわりを膨らませているように見える。あの突き刺すような音にはどのようなヒミツがあるのだろう。文字通り、消耗するまでの全力疾走であり、カタルシスがすさまじい。

山口コーイチさんのピアノを聴いていると、サム・リヴァースのサックスを思い出してしまった。定形のリズムや韻律のようなものではなく、「でろでろ」を持ち込んで平然と「でろでろ」を展開する迫力と愉快さ。CDも聴いてみようかな。

ところで立花さんはサックスのストラップを自作したそうで、その工夫話をひとしきり披露。紐も、肩あての形も、長さ調節用の木っ端も、なかなかカッコ良い。ウェブサイトで販売される日も近い(?)。

Nikon P7800

●参照
立花秀輝+不破大輔@Bar Isshee(2015年)
立花秀輝『Unlimited Standard』(2011年)


ジョルジョ・モランディ展@東京ステーションギャラリー

2016-03-14 07:34:01 | ヨーロッパ

東京ステーションギャラリーにて、ジョルジョ・モランディ展を観る。

モランディは表舞台に出ることを好まず、静物画を描き続けた人だった。かれの手にかかれば、花は佇まいを示すためのものであり、建物も静物のひとつの在りように過ぎないことになってしまう。瓶や小物たちは、少しずつ移動し、ときには現実の閾を平然と踏み越えて、「変奏」する。

かれの視線に晒され続けたものどもは、影も形も光の揺らぎのなかだけに、漆喰のように封じ込められる。よく観ると、背後の壁が瓶よりも後に描かれ、それが瓶の形を決めていることもわかる。

地味で落ち着いたモランディの作品が好きなわたしでも、ここまで執拗な、人生をかけた「変奏」を見せられては、圧倒される以上に、かれの正気を疑ってしまう―――もちろん、偉大な芸術家のありうべき側面として。