Sightsong

自縄自縛日記

原田眞人『日本のいちばん長い日』

2016-03-01 22:05:15 | 政治

ドバイからの帰国便で、原田眞人『日本のいちばん長い日』(2015年)を観る。日本のポツダム宣言受諾、玉音放送、終戦を不満とする陸軍過激派のクーデター未遂を、主に描いている。

昭和天皇およびその取り巻きは、「戦争を止める実権がなかったために、東條たちの軍部による暴走を残念ながら止められなかった」という言説を戦後すぐに流布した。映画でもまさにその通りの描き方であり、実に薄っぺらい人物造形となっている。昭和天皇の最大の懸念と狙いは「國軆」を存続させることにあったわけだが、それが終戦によって可能となるという自信がどこから来るのかについては、まったく触れられていない。

また、もともとは「本土決戦」を主張していたはずの阿南陸相は、まるで、穏健で懐が深く、ただ昭和天皇の意向と「國軆」の護持のために、陸軍を懐柔して抑えおおせた存在として描かれている。

岡本喜八の映画は観ていないのだが、果たしてこのあたりはどうなっているのだろう。本作のようなだらしのないプロパガンダ娯楽映画ではないはずだ。

●参照
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』と原田眞人『クライマーズ・ハイ』
豊下楢彦『昭和天皇の戦後日本』
豊下楢彦『昭和天皇・マッカーサー会見』
豊下楢彦『「尖閣問題」とは何か』
原貴美恵『サンフランシスコ平和条約の盲点』
古関彰一『平和憲法の深層』
吉次公介『日米同盟はいかに作られたか』
波多野澄雄『国家と歴史』
『9条を抱きしめて ~元米海兵隊員が語る戦争と平和~』
沖縄「集団自決」問題(16) 沖縄戦・基地・9条
ノーマ・フィールド『天皇の逝く国で』


ギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』

2016-03-01 21:38:36 | ヨーロッパ

飛行機の中で、ギレルモ・デル・トロ『クリムゾン・ピーク』(2015年)を観る。

20世紀初頭のニューヨークにおいて、資産家の娘が、粘土掘りの機械を開発しようとする野心を持った実業家の男に騙され、結婚する。男の実家は英国の古く大きな洋館。かれは人殺しであり、その背後には姉との関係があった。洋館には犠牲者たちの幽霊があらわれた。

なかなか雰囲気のあるゴシック・ホラーだが、言ってみれば、見どころはそれだけだ。騙される娘は、亡くなった母親の霊から「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と忠告されていて、その赤い丘が洋館の建つ地であった。だが、迫りくる運命的な「赤」を使うなら、ニコラス・ローグ『赤い影』のほうが1万倍怖くて巧い。

●参照
ギレルモ・デル・トロ『パンズ・ラビリンス』


旨いサウジアラビア その4

2016-03-01 06:30:41 | 中東・アフリカ

リヤド。あまり動き回るでもなし、結局同じようなものばかり食べている。

■ Samurai

といいつつ、ファイサリアのフードコート内にある謎の日本料理は試してみたかった。「Samurai」の横に、なぜか「鎧」という漢字が書かれている。メニューには寿司なんかもあるがちょっとその勇気はない。「ヤサイ・イタミ」なるものもある。傷んでどうすんだ。

迷った挙句、「フライ・シュリンプ」を頼んだ。45リヤル(約1300円)だからそれなりに高い。しかし、量は値段以上に多い。立派な海老フライが5本に、人参のかき揚げ、焼きそば。まあまあイケる味なのだが、さすがに多すぎて残した。

■ スターバックス

以前は外にあった店舗が、ファイサリアの中に移転していた。「モカ」というメニューが宣伝してあって、空爆している国の地名をそんなに無邪気に出してどんなものかと思ってしまう。どこでも同じだが、カウンターは単身用と、女性が頼めるファミリー用とに分けられている(中の人が目の前で移動するだけ)。ドリップのトールサイズが11リヤル(300円強)だから、味も値段も似たようなものである。

■ Abu Kamal

以前に野菜の中から焦げたカメムシが出てきたところだが、旨い証拠だとして許すことにする。定番は、そぎ落とした肉やヨーグルトをピタパンで包んだシュワルマ。最近、お茶の水にレバノン料理の店が出来たらしいのだが、そこでも食べられるだろうか。

■ Dayen

結局時間がないとフードコートに戻ってしまう。店の名前を何と読むのかわからないが、部分的にケンタッキー・フライド・チキンを模したような店。チキンナゲットを、大蒜入りヨーグルトソースで食べた。見たまんまの味。

●参照
旨いサウジアラビア
旨いサウジアラビア その2
旨いサウジアラビア その3