今年は沖縄づいている。短い日程ながらもう4回行ってるし、沖縄を舞台にした映画も「でぃだかんかん」「星砂の島の小さな天使」に続いてこれで3本目。
実はこの映画、新作公開ではない。1990年に公開された作品のディレクターズ・カット版。なぜ20年経った今ごろ改めて?と意図を知りたい。今の時代だから、なのかな…ドキュメンタリー映画なので、ストーリーらしきものは無い。与那国島の老漁師が、島の周囲を回遊するカジキマグロを主たる獲物として来る日も来る日も漁に出る。船は小さなサバニ、ちょっとうねりが出れば中間部は直ぐに喫水してしまう。まず餌となる魚を釣り、それを針にかける。針を磨いてワイヤーにつなぐのも家出の仕事だ。長年連れ添った奥さんは家で毎日、仏壇に無事の帰港を祈る。
与那国島は晴れていれば台湾が見えるほど本土からは遠い。沖縄本島からでも700kmくらいは離れている。海はどこまでも青い。照り付ける陽射しは容赦がない。島の人たちの言葉を聞いても何語?と言うくらい分からない。そういう風景を見るだけでも十分に楽しめる。自分の行った場所だとなおさらだ。
島の若い連中が新しく大きな船で大きなカジキを揚げてくる。老人は不漁だ。それでもやり方を変えず海に出る。さりげなく助ける島の人々。そして遂に、大物を釣る。160kg台だ!夜、家でささやかな祝宴。三線に誘われつい踊ってしまう姿が実に良い。シンプルに、しかし毅然と生きる姿には参ってしまう。そういう人がちゃんと生きてゆける社会、いいよね。そうでないといけないよね。
被写体の糸数繁さんは、漁で還らぬ人となった。大物と格闘し、海に引きずりこまれたようだと言う。もちろん望んだ最期ではなかったろうが、まさにヘミングウェイではないか。公開から20年、奥さんももうこの世にはいらっしゃらないだろうし、与那国港の様相もすっかり変わったことだろう。作品中に南西航空のYS-11(JA8710)が懐かしいカラーリングで出てくるが、それも変わった。昔は良かったと嘆く人がいるかもしれないが、まだまあ与那国の海は青く綺麗だ、そう信じたい。
2010年8月4日 キネカ大森にて鑑賞
実はこの映画、新作公開ではない。1990年に公開された作品のディレクターズ・カット版。なぜ20年経った今ごろ改めて?と意図を知りたい。今の時代だから、なのかな…ドキュメンタリー映画なので、ストーリーらしきものは無い。与那国島の老漁師が、島の周囲を回遊するカジキマグロを主たる獲物として来る日も来る日も漁に出る。船は小さなサバニ、ちょっとうねりが出れば中間部は直ぐに喫水してしまう。まず餌となる魚を釣り、それを針にかける。針を磨いてワイヤーにつなぐのも家出の仕事だ。長年連れ添った奥さんは家で毎日、仏壇に無事の帰港を祈る。
与那国島は晴れていれば台湾が見えるほど本土からは遠い。沖縄本島からでも700kmくらいは離れている。海はどこまでも青い。照り付ける陽射しは容赦がない。島の人たちの言葉を聞いても何語?と言うくらい分からない。そういう風景を見るだけでも十分に楽しめる。自分の行った場所だとなおさらだ。
島の若い連中が新しく大きな船で大きなカジキを揚げてくる。老人は不漁だ。それでもやり方を変えず海に出る。さりげなく助ける島の人々。そして遂に、大物を釣る。160kg台だ!夜、家でささやかな祝宴。三線に誘われつい踊ってしまう姿が実に良い。シンプルに、しかし毅然と生きる姿には参ってしまう。そういう人がちゃんと生きてゆける社会、いいよね。そうでないといけないよね。
被写体の糸数繁さんは、漁で還らぬ人となった。大物と格闘し、海に引きずりこまれたようだと言う。もちろん望んだ最期ではなかったろうが、まさにヘミングウェイではないか。公開から20年、奥さんももうこの世にはいらっしゃらないだろうし、与那国港の様相もすっかり変わったことだろう。作品中に南西航空のYS-11(JA8710)が懐かしいカラーリングで出てくるが、それも変わった。昔は良かったと嘆く人がいるかもしれないが、まだまあ与那国の海は青く綺麗だ、そう信じたい。
2010年8月4日 キネカ大森にて鑑賞