本多勝一は何年ぶりかなあ。また読むことがあるとは思わなかった。角幡唯介氏の著作中に触れられていた本なので読んだのだ。
ヒマラヤと言うと山を知らない自分なぞチョモランマ(エヴェレスト)かK2とかしか思い浮かばないが、本書で触れられているのはそれよりずっと西、ヒマラヤ山脈の終わりに近い部分。本書のベースとなった探検隊が遠征したのは今から60年以上前、まだ未踏(正確には、ごくごく現地の人々にしか知られていなかった)のエリア。
なので、登山はごく一部で、やはり探検記と呼ぶのが相応しく感じた。読んでいて興味深く惹き付けられるのは、遠征隊メンバーだけの行動記録でなく現地で雇った村人達の言動や、途中で立ち寄った集落での見聞なども記されているから。あまりキッチリとした民俗学レポートだと堅苦しく内容が専門的過ぎて読めないかもしれない(と書くと著者が素人だと言ってるようだが…)が、本書くらいの内容だと丁度よい。
この遠征当時、著者はまだ学生だった。にもかかわらず、文章のあちこちに後年の多数の著作に見られる醒めたもしくはちょっと斜に構えた観察眼や物言いを感じ取ることができる。そこが嫌いな人は多いと思うが、その点を差し引いても著者の観察眼は評価に値するのではないか。
今でもこのエリアを旅するのには時間といくばくかの労力を要するはず。著者が主張し角幡氏が賛同する「パイオニア・ワーク」は、歳月を経た今さらに重みを持つ。
2020年2月10日 滞在先のホテル(スリランカ・ガル)にて読了
ヒマラヤと言うと山を知らない自分なぞチョモランマ(エヴェレスト)かK2とかしか思い浮かばないが、本書で触れられているのはそれよりずっと西、ヒマラヤ山脈の終わりに近い部分。本書のベースとなった探検隊が遠征したのは今から60年以上前、まだ未踏(正確には、ごくごく現地の人々にしか知られていなかった)のエリア。
なので、登山はごく一部で、やはり探検記と呼ぶのが相応しく感じた。読んでいて興味深く惹き付けられるのは、遠征隊メンバーだけの行動記録でなく現地で雇った村人達の言動や、途中で立ち寄った集落での見聞なども記されているから。あまりキッチリとした民俗学レポートだと堅苦しく内容が専門的過ぎて読めないかもしれない(と書くと著者が素人だと言ってるようだが…)が、本書くらいの内容だと丁度よい。
この遠征当時、著者はまだ学生だった。にもかかわらず、文章のあちこちに後年の多数の著作に見られる醒めたもしくはちょっと斜に構えた観察眼や物言いを感じ取ることができる。そこが嫌いな人は多いと思うが、その点を差し引いても著者の観察眼は評価に値するのではないか。
今でもこのエリアを旅するのには時間といくばくかの労力を要するはず。著者が主張し角幡氏が賛同する「パイオニア・ワーク」は、歳月を経た今さらに重みを持つ。
2020年2月10日 滞在先のホテル(スリランカ・ガル)にて読了