とても興味深いテーマではないか。「最近の若者はなっとらん」「いや、年寄りこそダメじゃん」意見百出しそうなテーマでしょ。まず書いておこう、少なくとも公共の場におけるマナー、そしてモラルは、年代を問わず「衰退」していると言うのが、私の見解である。
その上で、と書こうと思ったのだが、本書の展開はおかしなことになっていると感じた。そもそも「しつけ」とは何かが違うような。自分は体系的な教え方が定義されており、評価基準も定められているいわゆるお勉強を「教育」、そして、それ以外の振る舞い、考え方などいわゆる道徳的な作法を「しつけ(躾)」と思ってきた。しかし著者は、前者も後者も「しつけ」とし、それを学校教育と家庭教育に二分して「AorB」の論法に展開しているように読み取れる。
自分は、いわゆる「教育」については主に学校が、そして「しつけ」については主に家庭と、さらには(学校を含む)地域社会がその役目を担っているのだと考えてきた。勿論それぞれ「主に」であり「全て」ではなく、例えば家で親が子どもの学習の面倒を見ることもあるだろうし、学校で先生は勉強だけでなく態度まで指導することだろう。本書と、このスタンスで大きく隔たりを感じた。
本書で興味深い点を挙げれば、都市部と農漁村の親が、それぞれ学校に期待する内容の統計調査結果だろうか。ただそれも、前期の通り「教育とは「しつけとは」の定義が異なれば、結果の読み取り方も変わってくる。
議論討論を行う場合の言葉の定義について考える、良いサンプルだった。
2023年3月15日 福岡県姫島の船着場にて読了
その上で、と書こうと思ったのだが、本書の展開はおかしなことになっていると感じた。そもそも「しつけ」とは何かが違うような。自分は体系的な教え方が定義されており、評価基準も定められているいわゆるお勉強を「教育」、そして、それ以外の振る舞い、考え方などいわゆる道徳的な作法を「しつけ(躾)」と思ってきた。しかし著者は、前者も後者も「しつけ」とし、それを学校教育と家庭教育に二分して「AorB」の論法に展開しているように読み取れる。
自分は、いわゆる「教育」については主に学校が、そして「しつけ」については主に家庭と、さらには(学校を含む)地域社会がその役目を担っているのだと考えてきた。勿論それぞれ「主に」であり「全て」ではなく、例えば家で親が子どもの学習の面倒を見ることもあるだろうし、学校で先生は勉強だけでなく態度まで指導することだろう。本書と、このスタンスで大きく隔たりを感じた。
本書で興味深い点を挙げれば、都市部と農漁村の親が、それぞれ学校に期待する内容の統計調査結果だろうか。ただそれも、前期の通り「教育とは「しつけとは」の定義が異なれば、結果の読み取り方も変わってくる。
議論討論を行う場合の言葉の定義について考える、良いサンプルだった。
2023年3月15日 福岡県姫島の船着場にて読了