社会の底辺にあえぐ人々の暮らしと、自らもそうした苦界に身を投じ生命の灯を燃やした青年の姿を描いた、著者の自伝的作品で大正時代のベストセラーになったとも言う。
キリスト教の明治学院に学んでいたが思うところあって故郷徳島へ帰ったものの実夫や妾とはうまくゆかず、いろいろ煩悶するうちに敢えて神戸の貧民窟に居を移し、低賃金重労働で教養の欠片もなく生きる本能のみで動いているような連中に酷い目に遭わされたりしながら布教活動を行い、ついには命を落とす主人公。トータルで見れば美談なのだろうなあ。東京を引き払うまでは自意識過剰で頭でっかちな大学生にしか見えない。
その後も主人公は面倒で上手くゆかないことばかり、これでもかと押し寄せてくる様子には、なぜ彼ばかりこんな目にと思うし、そうした事案への対応についてももっと上手に捌けないものかと思ってしまう。そうしないのが立派なところで、人気を博し或いは同情を得た所以なのだろう。
情景描写をみるに、100年ほど前の日本の民度は、生活レベルは、かくも低く劣悪であったかと思う。ひょっとしたら成功者になれば今より遥かに庶民との差のある裕福な生活を送れたのかもしれないが、一般庶民でしかいられないのであれば、現代に生まれた方がずっと良い。
物語は極端な例を示したのだろうが、時代背景は的確なのだろう。本書のどこに、当時の人々は惹かれたのだろうか。或いは自らの身を登場人物の誰かに重ねたのかもしれない。現代に読むと、遠い世界の物語としか感じられなかった。
2023年4月11日 新潟より戻る新幹線にて読了
キリスト教の明治学院に学んでいたが思うところあって故郷徳島へ帰ったものの実夫や妾とはうまくゆかず、いろいろ煩悶するうちに敢えて神戸の貧民窟に居を移し、低賃金重労働で教養の欠片もなく生きる本能のみで動いているような連中に酷い目に遭わされたりしながら布教活動を行い、ついには命を落とす主人公。トータルで見れば美談なのだろうなあ。東京を引き払うまでは自意識過剰で頭でっかちな大学生にしか見えない。
その後も主人公は面倒で上手くゆかないことばかり、これでもかと押し寄せてくる様子には、なぜ彼ばかりこんな目にと思うし、そうした事案への対応についてももっと上手に捌けないものかと思ってしまう。そうしないのが立派なところで、人気を博し或いは同情を得た所以なのだろう。
情景描写をみるに、100年ほど前の日本の民度は、生活レベルは、かくも低く劣悪であったかと思う。ひょっとしたら成功者になれば今より遥かに庶民との差のある裕福な生活を送れたのかもしれないが、一般庶民でしかいられないのであれば、現代に生まれた方がずっと良い。
物語は極端な例を示したのだろうが、時代背景は的確なのだろう。本書のどこに、当時の人々は惹かれたのだろうか。或いは自らの身を登場人物の誰かに重ねたのかもしれない。現代に読むと、遠い世界の物語としか感じられなかった。
2023年4月11日 新潟より戻る新幹線にて読了