【本】武田泰淳著 「ひかりごけ」(新潮文庫)

　北海道・知床の羅臼に、ひかりごけの見られる洞窟があった。正確には今もあるのだが、現在は見学不可になっている。他にも見られる場所は幾つかあるが、羅臼のが最も大規模だったのかな。本書はその名を題名にした作品のほか、数編を収録。

　「ひかりごけ」という作品が著名になったのは、テーマが人肉食だったから。極限状態における行動としてなら許されるのか、いかなる状況であっても許されざる行為なのか？アンデス山中に墜落した旅客機の乗客にも同じような話があった。善悪の判断基準はこの場合、社会通念と同じではないと思える。

　1.いかなる理由でも、人肉食は不可。(喰うくらいなら餓死を選ぶ)
　2.他人を殺めることは不可だが、先に亡くなった者の肉を頂くのは可。
　3.自分が生き残るためなら、たとえ他人を殺すことであっても止むを得ない。

　さて自分ならどうだろうか。1.と言いたいが、極限状態でも理性を失わない自信はない。

　2023年4月28日　静岡空港より戻る電車にて読了

2023年4月25～28日 【旅行】3年ぶりの海外！お次は韓国（４）ソウル市内観光→静岡→川崎

　4月28日、4日目最終日。

　午後の出発の前に、漢陽都城博物館(写真)を見学。ソウル市は漢陽の時代、都市をぐるりと囲む城壁に囲まれていた。その城壁に関する資料館で、同時に城壁に沿った19km近いハイキングコースに関する情報も得られた。このハイキングを次の訪問の目的にしようと思うが、事前準備として今回訪問しておきたかった。

　博物館のある小高い敷地を降りたところが東大門交差点、ここに面したJWマリオット東大門スクエアホテル前に仁川国際空港行き6702番バスの停留所があり、乗り換えなしで空港まで行ける。が、ソウル市内の停留所が多く時間が掛かり、たっぷり2時間かかって空港着。チェックイン時刻には余裕で間に合ったが、空港内探検の時間がなくなってしまった。

　不幸は続く。帰国便もターミナル１サテライト、プライオリティパスで利用できるラウンジに行ったところCovid-19の影響なのかクローズ。少しばかりお土産を買おうと思ったが免税店もほぼクローズ。手ぶらで帰国することになってしまった。おまけにサテライト、しかもその先っぽ(101番)だったため、さんざん歩かされた。

　7C1282便(HL8336:737-800)はチェックイン済み乗客が搭乗を取り消し、その荷物の取り降しで30分遅延。静岡まで1時間39分、自分は前の方に座れかつ入国審査のスムーズな日本人だったので静岡駅行きバスに間に合ったが、間に合わなかった外国人客もいたのでは…。東名焼津西で下車し、すぐに来そうな東京行き東名ハイウェイバスで帰ろうかとも思ったが、食事をしたかったため予定通り静岡駅まで乗車。夕食を済ませて乗った熱海行きにはクロスシート車(313系8000番台)が付いておりラッキー、熱海からはグリーン車。新幹線の安いチケット「ぷらっとこだま」を使いたかったがLCCならではの遅延を考えるとリスキーなため止めておいた。

　今回は体調を崩すこともなく、予定通りに過ごすことができた。地方空港利用のソウル往復は、特に仁川空港からソウル市内までの移動に時間が掛かりストレスになるリスクを覚えておく必要がありそうだが、またやってみたい。（おわり）