日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】本田 創著 「失われた川を読む・紡ぐ・愉しむ 東京暗渠学 改訂版」(実業之日本社)

2024-03-06 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 先日の夏日はどこへやら、一気に寒の戻り。雪でも降るんじゃないかって冷たい雨に出かける意欲は失せ、ベッドに入って読書。

 都内とりわけ武蔵野台地から下町へ向かい、かつて何本もの用水が引かれ、そこから網の目のような拡がっていた。その多くは無用となり、埋められたり土管化されたりコンクリ蓋をされたりの暗渠(あんきょ)化工事が進められた。本書は、そうした暗渠化された用水群の現状を何地域も現地に訪ね、克明に追った記録でもあり、紹介でもある。

 とにかく労作と言う他ない。対象となる用水(暗渠)の歴史を調べ、現在の地図と照合してマッピングし、現地を歩き撮影し、それらを纏めてゆく。本書は改訂版だそうだが、初版と合わせればどれくらいの時間を要したのか。

 東京とは言え縁のない地域の用水が多くリアルに感じられる部分は少なかったが、豊富な写真はいずれもカラーで雰囲気がよく伝わってきた。著者および関わった人々の苦労を多としたい。

 2024年2月23日 自宅にて読了

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【本】梅谷繁樹著 「捨聖・一遍上人」(講談社現代新書)

2024-03-06 06:00:00 | 本・映画・展覧会

 「駅からハイキング」で藤沢界隈を歩いた時に立ち寄った遊行寺で思い出した一遍上人。そう言えば何も知らないなと思い、関連の本を借りてみた。

 タイトルの「捨聖」は「すてひじり」と読み、修行の仏具以外は全てを捨てて旅立った遊行僧の意。本書は絵巻物「一遍聖絵」の主要シーンを軸に上人の生涯を解説するほか、上人なき後の時衆(時宗)の動きまでも解説する。

 読んで、断片的に知っていた上人のこと、踊り念仏のこと、時宗のことが結びついた。しかし上人は時宗の開祖と言われてるけど、時宗は上人の縁者(時衆)から興ったもので、上人が組織したものではないとは。

 それにしても、南無阿弥陀仏をいっぺん(一念)唱えるだけで極楽往生とは何と平易で実践し易そうな教えであることか。実はこの「いっぺん」の解釈が曲者なのだけど、民衆には受け入れやすかったろうな。

 全てを捨ててなんて、自分には無理だ。せめて暖かくなったら、中断している「ぼけ封じ関東三十三ヶ所観音霊場めぐり」を再開しようと、何となく思わされた。

 2024年2月22日 自宅にて読了

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