有吉佐和子と言えば「紀ノ川」、ではなく「複合汚染」なのだ自分にとっては。もしくは「華岡青洲の妻」だな。「恍惚の人」は原作飛ばしてTVドラマ観ちゃった。もう「過去の」と言いたいような作家なのに、今ごろ何で?島巡りをしていて、その情報集めをしていて引っ掛かったのだ。離島暮らしを描いたこんな作品があると。映画化もされたんだね。
舞台は黒島、と言っても大抵の人は判るまい。ちょっと知ってて沖縄は八重山諸島(石垣島の近く)か。否、本作の黒島は鹿児島、三島村にある方。実は先の年末年始に行こうとしていたがコロナ渦での来島自粛要請のため延期、春先の再挑戦もどうやら難しい状況と、自分にとってはホットな島である。そこまで知っていて本作を借りたわけではないので、偶然なのだが。
時は昭和30年代前半、貧しい島には2つの集落があり、歴史的に対立し普段は殆ど交流もない。密かに想いを寄せ合う若者が1組いるだけ。そこへ、東京での女優稼業に躓いた主人公がふらりと旅し、襲来する台風への対応などを通じ短い期間に集落の人々とくに子供たちと心を通わせる。帰京した彼女と島との縁は切れず、思いがけない出来事により島の人々は大いに変わってゆく…。
この作品が発表された時、黒島の人々は怒らなかったのだろうかとまず思った。島内の対立や因習、貧しさなどを余すところなく曝け出した作品だからして。のちに映画化されたのだから、話題作となったことは疑いない。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションか?興味深いところである。
もし黒島に行くことができたら、島の古老に本作を憶えているか、当時どう思ったか、本当に島の状態はそうだったのか、いろいろ話を伺ってみたい。無論、現在はそのようなこと皆無なのだと信じて。
2022年1月30日 茅ケ崎七福神めぐりの帰りの電車にて読了
舞台は黒島、と言っても大抵の人は判るまい。ちょっと知ってて沖縄は八重山諸島(石垣島の近く)か。否、本作の黒島は鹿児島、三島村にある方。実は先の年末年始に行こうとしていたがコロナ渦での来島自粛要請のため延期、春先の再挑戦もどうやら難しい状況と、自分にとってはホットな島である。そこまで知っていて本作を借りたわけではないので、偶然なのだが。
時は昭和30年代前半、貧しい島には2つの集落があり、歴史的に対立し普段は殆ど交流もない。密かに想いを寄せ合う若者が1組いるだけ。そこへ、東京での女優稼業に躓いた主人公がふらりと旅し、襲来する台風への対応などを通じ短い期間に集落の人々とくに子供たちと心を通わせる。帰京した彼女と島との縁は切れず、思いがけない出来事により島の人々は大いに変わってゆく…。
この作品が発表された時、黒島の人々は怒らなかったのだろうかとまず思った。島内の対立や因習、貧しさなどを余すところなく曝け出した作品だからして。のちに映画化されたのだから、話題作となったことは疑いない。どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションか?興味深いところである。
もし黒島に行くことができたら、島の古老に本作を憶えているか、当時どう思ったか、本当に島の状態はそうだったのか、いろいろ話を伺ってみたい。無論、現在はそのようなこと皆無なのだと信じて。
2022年1月30日 茅ケ崎七福神めぐりの帰りの電車にて読了