まさか続編が出るとは思わなかった。
「エデン」は、「サクリファイス」の続編だ!
表紙を見て分かるとおり、ロードレースを扱っている。
(マイナーな話と思われるかもしれないが、少なくともクライミング・ファンより多い)
自転車に興味がある方はもちろん、一般の方が読んでも充分楽しめるでしょう。
今回の話は、あれから3年後、ツール・ド・フランスを舞台に展開する。
華やかな表舞台とはうらはらに、舞台裏では、スポンサー問題、監督とチームの関係、チーム内の軋轢、フランスで開催しながら、フランス人が活躍しないという現状・・・様々な裏事情を描いている。
主人公の白石は、その中で日本人として、一人の競技者として、どう考え行動するのか?
本作品は読者がツール・ド・フランスに参加しているかのような臨場感で展開する。
いくつか、興味深い文章を下記に引用する。
ヨーロッパにきて、知ったことがある。
こちらでは、自転車はスポーツとしての位置づけしかない。
日本の主婦や中高年のように、自転車を単に移動手段と捉えている人々はほとんどいない。
ロードレースは脚力や持久力だけではなく、回復力を競うスポーツでもある。
毎日二百キロ近く走るのは、どの選手も同じ。だからこそ、夜の間にきちんと体力を回復させた選手だけが勝利をつかむことができる。
マイヨ・ジョーヌ。ツールの総合リーダーが身につける黄色い特別なジャージ。
最終的にパリでそれを着た者が、ツールでの勝者となり、その歴史に名を残すことになる。だが、途中で脱ぐことになっても、たった1日だけでもそれを着れば、選手としての人生は一変する。それぐらい特別なジャージなのだ。
以上、引用終了。
さて、レースはどう展開するのか?
パリでマイヨ・ジョーヌを着るのは誰か?
日本人・白石は、レースでどう活躍するのか?
【ネット上の紹介】
あれから三年―。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた惨劇が…。ここは本当に「楽園」なのだろうか?過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論とは。
↑前作「サクリファイス」第十回大藪春彦賞を受賞し、第五回本屋大賞の第二位にも選ばれた。