「小さいおうち」中島京子
昭和初期から終戦にかけての物語。
昭和5年春、尋常小学校を卒業して、山形から東京へ出てくるところから始まる。
女中として東京にやって来た少女・タキ。
奉公先は山の手、普通のサラリーマン家庭。
東京の言葉を覚え、料理、洗濯、子守の日々。
昭和の日常生活が語られる。
最終章で、様々な伏線が一気に収斂していく。
その時、タキの想いが浮上してくる。
「そうだったのか」、と。
直木賞受賞作品、見事な出来ばえ。
PS
「小さいおうち」というと、バージニア・リー・バートンを思い出す。(手元本棚に所持している)
上記作品を読んだ後、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」も読み返した。
同タイトル絵本は「家」そのものを描いているけど、中島京子作品は「小さい家」に住んでいる人間を描いている。でも、周りの自然、世相、環境を描いている点は同じ。
【ネット上の紹介】
昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない上質の恋愛小説です。
「悪魔のような花婿 薔薇の横恋慕」松田志乃ぶ
シリーズ3作目。
回を追うごとに面白くなってきた。
最初は、平安朝のシリーズが面白いから、「ついでに読んでみるか」って軽いノリで始めた。
役者がそろってきて、どんどん面白さのレベルが上がってきた。
シリーズ2本平行して執筆大変とは思うが、
今のところ筆力衰えるどころか、質量共に見事である。
まるっきり異なる世界を舞台に、よく描き分けられるなぁ、とひたすら感心している。
(どちらも文化的背景が詳細に描かれている)
別シリーズが、舞台後宮になって本格始動したように、
このシリーズも、次回から花の王都ヨークバラ宮廷が舞台となり本流突入か?
ますます、面白くなること間違いなし!
PS1
脇役たちがゴージャスすぎて、ヒロイン・ジュリエットの魅力がかすんでしまうのが残念。
もっと活躍させてあげて欲しい。
これが著者への願いである。
PS2
この作品を読むにあたって、前作2作を読み返してた。
だいぶ細かい点を忘れていたと気づいた。
シリーズを、より楽しむためには、こういう気合の入った作業は必要である。
【ネット上の紹介】
クセ者がそろった悪魔城で、何かが起きる! 四海家当主が集結する悪魔城で起きた、様々な事件…。6人の客人のうちの誰かが紋章印を狙う刺客だと知ってしまったジュリエット。おまけに、彼らに関する悪い噂が…!? 衝撃の真相が明らかに!!