「恋する空港」新野剛志
以前、同著者による「あぽやん」を紹介した。
今回の「恋する空港」は、その続編。
「あぽやん」もすごくおもしろくレベルが高かったが、
本作もそれにおとらずレベルが高く、楽しめた。
内容は、成田空港を舞台にした空港のプロフェッショナル『アポやん』を描いたお仕事小説。
この手の作品が好きな方にはオススメ、と思う。
1作目「あぽやん」未読の方は、順を追って読むことをお勧めする。
なぜなら、主人公の成長を知ることができるから。
さて、一部文章を紹介する。
P305、主人公に逆・玉の輿見合いの話が持ち込まれる。
「こんないい話はないぞ。好きとか嫌いなんて、結婚して五年もすれば関係なくなる。十年すれば、女であるかどうかすらどうでもよくなるもんだ」(中略)
「心に染みるアドバイスです。そうならないよう、気をつけますから」
P309-310
「なあ遠藤、お前、面食いじゃないよな」
「ええ、違いますよ」と答えてみたが、美人が嫌いな男などいるだろうか。(中略)
「(中略)容姿なんて気にしないお前のことだから、関係ないと思うが、『美人は三日で飽きる、ブスは三日で慣れる』ってよく言うだろ。あれは本当だ。結婚したら容姿なんてどうでもよくなるもんさ」
参考までに、2009年2月7日付けで書いた「あぽやん」の紹介文を次に再録しておく。
空港を舞台にした小説が読みたかった。
そこでどんなドラマがあるんだろう、と興味津々。
どちらかというと、知識としての興味。
内容はさほど期待しなかったのだが、予想以上に面白かった。
これはオススメ。
登場人物に感情移入しまくりで読んだ。
ドラマにしてもヒットするかも。
【閑話休題+蛇足】
ストーリーとは関係ないけど、恋愛話が出てくる作品を読むと、つい考えてしまう。
ハッピーエンドの紋切=『結婚』と、その後のことについて、即ち『離婚』について。
そして、その流れで考えてしまう。
・・・クライマーの離婚率は、世間と比べてどうなんだろう、と。
高いのか、低いのか?また、どんなときに破綻するのだろう?
私の感覚だと、どうもクライミング界、破綻率が高いような気がする。
そして、クライミングに対する『ベクトル』=クライミングへの思い入れ、絶対値と方向がズレた時に破綻が訪れる、と感じる。
また、岩場でハデに夫婦喧嘩するのは関西圏の方が多いように思う。(岩場は一種のプライベートエリアか?)
逆に、関東の方は、岩場でハデに夫婦喧嘩しないが、いきなり不倫したり、離婚したり、という印象がある。(一長一短・・・というより、どちらも困ったものだ)
『ロクスノ』か『フリーファン』で統計をとって頂きたい「結婚後満足度」について・・・男女ともクライマーの場合、男性がクライマー女性が一般OLの場合、その逆の場合に別けて。
【ネット上の紹介】
空港=airportを略してAPO。国内最後の水際であらゆるトラブルに対応する空港のプロフェッショナルをかつて旅行会社・大航ツーリストでは「あぽやん」と呼んだ―成田空港所勤務2年目を迎えた遠藤慶太は新人教育に恋のライバル登場に悪戦苦闘。しかも、親会社・大日本航空の経営悪化の煽りを受けて空港所閉鎖の噂が!?立派な「あぽやん」目指して今日も走る遠藤の運命やいかに?爽快お仕事小説