「赤い雪 勝又進作品集」勝又進
「深海魚」に続いて読んだ。
2006年(第35回)日本漫画家協会賞・大賞受賞作品。
「深海魚」に比べて、ずっと一般的、娯楽性の高い内容。
(だからと言って、「ジャンプ」や「マガジン」掲載作品とは一線を画する)
叙情的で、郷土色の強い内容となっている。
つげ義春、水木しげる、近藤ようこ、各氏も絶賛の著者代表作を収めた短編集である。
つげさんが、何かから逃避して行き着く場所として地方の鄙びた場所を描くのに対して、勝又さんはそこに住み着いてる土着の人間の視点で描いてますよね。つげさんの作品は都会の生活を経験した者の視点なんです。勝又さんのは、生まれ育った土地で生きて、死んでいく人たちを描いているところが違いでしょうね。by池上遼一
【参考リンク】
日本漫画家協会賞
「深海魚」勝又進
勝又進さんの短編集。
特に注目すべきは、表題作「深海魚」と「デビルフィッシュ」。
勝又版「原発ジプシー」だ。
「深海魚」は1984年12月。
「デビルフィッシュ」は1989年4月。
これらをポスト3.11に読む意義は大きい。
ちにみに、勝又進さんは東京教育大学(現・筑波大学)大学院で原子核物理学を専攻されている。
だから、軽く描かれているようで、理論的な裏打ちがしっかりしている。
図書館に入荷する可能性は低い、と思うけど、どこかで見かけたら読んでみて。
【本日のお言葉】
「テレビがなくたって、洗濯機がなくたって、人間は充分幸福な生活が送れるんです」by勝又進
【参考リンク】
【ネット上の紹介】
「被曝労働をする者がいなければ、原発を回して行けないのなら、本来彼らはたとえ“フクシマ・フィフティ”でなくとも、もっと優遇され尊敬されてもいいはずではないのか」阿部幸弘(解説より)郷里東北の土俗的な生活と人々を描き、2006年に日本漫画家協会賞・大賞を受賞した勝又進が、綿密な取材のもと、原発ジプシーの実態を捉えた異色短編二編を巻頭収録。 大学院で原子核物理を学び、早くから原発の危険性を認識して福島第一、第二原発をはじめとする各地の原発を取材。「原発はなぜこわいか」「脱原発のエネルギー計画」(いずれも高文研)の挿絵を担当するなど、地味ながら一貫した活動を続けていた著者の作品の中から、短編9編をセレクト。土俗的作品、私マンガ的作品とそれぞれ異なる作品傾向の中から浮かび上がる勝又進の精神の軌跡を追う。収録作品:「深海魚」 「デビルフィッシュ(蛸)」 「かっぱ郎」 「半兵衛」 「わら草紙」 「木の葉経」 「冬の虫」 「冬の海」 「春の霊」 巻末:収録作品解題=編集部/解説=阿部幸弘