【寄稿文】カリムノス(ギリシャ) クライミング 日記 『後編』
京都府勤労者山岳連盟 チームクラマグチ by iida
1月1日(日)晴れ
今日は,クライミングの最終日。昨日の天気予報は雨だったが,いつも通り宿を出発。真っ黒い雲に覆われているが,雨が落ちてくる様子はない。アップにTaz 6c 。続いてTufantantastic 7b+にトライ。ガバホールドの豪快なルート。次に2日前にRPできなかったSpartacus 7b+へ。同じルートに取り付くのは,このルートが初めて。ポケット部分で,アウト!寂しい敗退。気を取り直し,Priapos 7c へ。どっかぶりのガバルート。中間部が細かかった。40mの壁を1時間あまりかけて登った。
夜は,いつものレストランへ。ラストデイを楽しく過ごした。このレストランは,安く美味しかった。ギリシャ料理は,最高だった。ビール・ワイン・スープ・肉料理・デザート付き・・・。なんと,6~8ユーロだった。
【GRANNDE GROTTA】
Taz 6c OS
Tufantantastic 7b+ F
Spartacus 7b+ 2回目のトライ ×
Priapos 7c OS
Priapos 7c+を登る
1月2日(月)晴れ
午前6時半,サキスの主人にお願いしておいたタクシーにて港へ。約9キロを15分あまりで到着した。マスティハリまでは5ユーロで大型船に乗車。タクシーでコスタウンへ。町の中には,多くの遺跡がある。ディオニソス神殿・西遺跡・古代劇場を見学後,昼食。お店は,ほとんど閉まっていて観光客の姿はほとんどなかった。
コス島の港
アテネ空港到着後,地下鉄に乗り宿泊予定のATHENS BACK PACKERS STUDIOSへ。6人部屋で一人当たり一泊16.5ユーロ。部屋は明るく美しい。バス・トイレを6人で使用するため,少し不便を感じた。
1月3日(火)晴れ
アテネ観光のメインは何といっても古代ギリシャの光華を物語るアクロポリス遺跡だ。宿から徒歩10分。高さ10m周囲160mに及ぶ一大芸術作品のパルテノン神殿・古代アンゴラ・・・。感動の連続だった。アクロポリス遺跡や古代アンゴラ見学後,カフェへ。古代への思いをはせながら,お茶を楽しんだ。
パルテノン神殿
次の目的地は,国立考古学博物館。その途中に山の店があったので入ってみる。クライミング用品は品薄でほとんどない。ウエアーもそろっているが,ノースフェースの商品が日本より少し安い程度だった。ギリシャ全土の遺跡が集められた国立考古学博物館へ。約2時間あまり見学。ギリシャの文化と歴史の偉大さを感じた。夕方,プカラ地区でお土産を購入。生演奏を聴きながら食事を取り宿へ。
1月4日(水)晴れ
昨夜お酒をちょいと飲みすぎたようだ。頭痛とはきけ。二日酔い。友人4人は早朝帰国。僕だけは一日遅い帰国のため,もう一泊しなければならない。10時,もう一軒のクライミングショップへ。フランスでは,テスタロッサが一万円程度ということで期待して訪れるが,靴は販売されていなかった。ギヤ類は,昨日の店より多いものの日本より少し安い程度。重い荷物をあえて持って帰る必要はない。
昼過ぎ,宿に帰る。食欲なく,仮眠。二日間アテネに宿を取ったのには,理由がある。アテネに立ち寄らず日本に帰国すれば二日間カリムノス滞在が増える。そうしなかったのは,冬のエーゲ海の悪天候だ。風雨が強く船や飛行機が欠航するが多々あるらしい。余裕をもってアテネの空港に行くため,二日間の観光をした。
午後3時,二日酔いも回復し,散歩に出かける。友人が帰国したので,一人ぼっちの散歩,夕食となる。ゼウス神殿から国会議事堂へ。昨年10月のギリシャの財政危機に端を発した大暴動が起こった舞台だ。公共交通機関もゼネスト状態で,ギリシャツワーも危ぶまれたのを,思い出す。幸い,今回のツワーも無事終了したが,町を歩いていてもこの国が財政危機であることは,肌で感じ取ることはできない。ただ,国立考古学博物館のある通りには,浮浪者らしき人たちが多くいて,怪しい物を売買していた。
その後,リガビストの丘へ。国会から30分の山も登りだった。夕暮れも近いので「行けるところまで行こう。」と思っていたが,17時頃頂上に着いた。丘の頂上からの眺めは最高。アクロポリスが夕日に染まっていた。日が沈むと道に迷いやすく,治安も悪くなるので急いで下山。シンタグマ広場を通ってプラカ地区で夕食にした。1人なので寂しい食事だ。グリークサラダとスープのみ。二日酔いをしたため,アルコールがほしくない。こんな事は,1年に数回しかない。2品でなんと12.5ユーロ。高い。カリムノスでは,飲んで食べてしゃべって,1人8ユーロ以下だったのに・・・。アテネ市内の物価は,日本と変わらない。やや高いかも・・・。
1月5日(木)晴れ
朝食を済ませ,散歩へ。チェックアウトが10時30分なので,1時間30分しかない。散歩コースは,アクロポリス一周。とても贅沢な散歩コースだ。でもよく考えてみれば,私も毎朝京都龍安寺の池の周りをジョギングしているので,日々の贅沢に感謝!
10時30分にチェックアウト。二日間歩き回ったので,もう観光のモチベーションはない。地下鉄乗って空港へ。地下鉄の中での出来事。車内を小学生ぐらいの子どもが二人,トライアングルを鳴らし,何かを訴えながら歩き回っている。座席ごとに数秒間立ち止まって小銭をもらっている。何人もの乗客(一車両6人ほど)がお金を渡している。恵まれない子どもだろうか?学校は休んでいるのだろうか?驚いたのは,5mほど後を母親らしき人が歩いていたことだ。トライアングルの代わりにアコーデイオンを弾く子どもたちもいた。こんな光景は町の中でも良く見かけた。
12時,空港着。フライトには約6時間ある。ビールを片手にこの記録を書いている。出発ロビーでは,別れを惜しむアテネ人?が熱い抱擁を交わしている。
アテネからドーハを経由して,1月6日午後4時,関空に到着した。
夕焼けのアクロポリスとアテネの町
カリムノスでのクライミング
岩質は,石灰岩。コルネがたいへん発達していて,立体的なクライミングが楽しめた。冬は気温が低く(最高気温10℃くらい)雨も多いらしい。風が強いので,雨が降っても早く乾く。ただ,風の強さは半端でなく,岩は全体的に潮ぬめりしているエリアもある。宿に近いクランデグロッタなどのエリアは,午後2時を過ぎないと日が当たらないので,寒さに弱いクライマーには,おすすめできない。日の当たるエリアもあるが,遠出をしなければいけない。
ロープは,80mあったほうが良い。長いルート(40m)がいっぱいあるので,安心して登れる。この時期,クライミングショップは一軒も営業していない。ギア類は,全て日本から持参のこと。島には,バスが走っている。1.5ユーロでカリムノスの港まで行ける。更に, レンタルバイクを使うと,遠くの岩場へ行ける。私たちは短期の滞在のため,遠くの岩場へはタクシーを利用しようと考えていた。岩場のグレードは,日本よりお買い得。
宿は,サキススタジオを利用した。1日18ユーロ。シャワーのお湯が安定して出れば,申し分ない。
コス島やアテネの観光もとても有意義だった。この地を訪れるなら,アクロポリスを始めとする,ギリシャの遺跡をぜひ訪れてほしい。
「ギリシャ料理は,あまりおいしくないよ。」以前にこの地を訪問した人に聞いていたが,私にとっては,ギリシャ料理は美味しかった。野菜も肉料理もヨーグルトチーズなどをからめて食べると最高だった。ただ,魚料理は,エーゲ海に面しているにもかかわらず,非常に乏しかった。
費用
アテネ⇔関空(カタール航空) 115,490円
アテネ⇔コス島 13,190円
サキススタジオ 一泊(暖房・お湯・タオル) 18ユーロ
コス空港→マスティハリ 7.5ユーロ
マスティハリ→カリムノス 6ユーロ
カリムノス島内バス 1.5ユーロ
アテネの宿(6人部屋1泊。1人当たり) 16.5ユーロ
1ユーロ=約100円