「名画で読み解くイギリス王家12の物語」中野京子
P36
チューダー時代は短かったにもかかわらず、ヘンリー八世、アン・ブーリン、ジェーン・グレイ、エリザベス一世という四人もの大スターを輩出した。彼らについての歴史書、小説、映画、テレビドラマがどれほど多く生まれ、今なお生まれ続けていることか。
P97-98
ピューリタン(清教徒)とは前章でも触れたが、宗教改革をさらに推し進めようとするイギリスのカルヴァン派を言い、自らをピュアとし、腐敗した国教会をピュアにするのを目的とした。この度の議会派の中心が彼らだったので、1642年から王政復古年1660年までを「ピューリタン革命」と呼ぶ。フランス革命と同じ市民革命である。
P99
クロムウェルは神軍の将からから王殺し、共和制樹立者(今も国会議事堂前には剣と聖書を持つクロムウェルの銅像が建つ)から独裁者、さらにピューリタン革命のさなか、アイルランドを蹂躙した男である。アイルランド人の土地を奪ってイギリス人入植者に与え、徹底的に収奪した。これが現在に続く来たアイルランド紛争の元凶なのだ。クロムウェル評価のいまだ定まらない所以である。
P112
イギリスは絶対王政を否定しつつ国王を戴き、共和制を否定しつつ人民の権利を認めたわけだ。階級制度が気に入っているのかもしれない。
P167
ヴィクトリア女王のイメージは、「愛される妻」「優しい母」としてのそれだった。エリザベス一世が処女王として、一種超越的な存在感とカリスマ性で君臨したのとは、それは何という違いであろう。
【ネット上の紹介】
第1部 テューダー家(ハンス・ホルバイン『大使たち』
アントニス・モル『メアリ一世像』
アイザック・オリヴァー『エリザベス一世の虹の肖像画』)
第2部 ステュアート家(ジョン・ギルバート『ジェイムズ王の前のガイ・フォークス』
ポール・ドラローシュ『チャールズ一世の遺体を見るクロムウェル』
ジョン・マイケル・ライト『チャールズ二世』)
第3部 ハノーヴァー家(ウィリアム・ホガース『南海泡沫事件』
ウィリアム・ビーチー『ジョージ三世』
ウィリアム・ターナー『奴隷船』
フランツ・ヴィンターハルター『ヴィクトリアの家族』
フランツ・ヴィンターハルター『エドワード王子』
ジョン・ラヴェリ『バッキンガム宮殿のロイヤルファミリー』)