【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「アップルソング」小手鞠るい

2017年12月18日 19時57分12秒 | 読書(小説/日本)


「アップルソング」小手鞠るい

茉莉江は、赤ん坊の時、焼け跡から助け出される。
その後、日本は終戦を迎え、母親に連れられ渡米する。
様々な困難と直面しながら、報道写真家となっていく。
その時々の世相が描かれる…ベトナム戦争、安保闘争、あさま山荘事件、日航ジャンボ機墜落、そして9.11テロ。

P114
「マリーちゃん。人間を支えているのは、なんだと思う?教えてあげましょうか、それはね、夢と信念よ」

P249
行き場がない。逃げ場もない。閉ざされた空間で、涙をだらだら流しながら、それでも茉莉江は、ついさっき仕舞ったばかりのカメラを取り出そうとした。「記録しておかなくては」という意志に突き動かされていた。

P412
人類がやっていることは、環境破壊と殺し合いだけど。彼女は、チェチェンで、己の限界をこえるようなものを見てしまい、精神の均衡を保てなくなっていたのかもしれない。

【蛇足】
構成に懲りすぎのように感じた。
もっと普通に物語を展開したほうがいいんじゃない?
ややこしくしくするメリットは?
内容がいいだけに、その点残念に感じた。

【ネット上の紹介】
終戦直前、焼け跡から助け出された赤ん坊。長じて彼女はアメリカに渡り、人間の愚行と光をその手で切り取っていく―著者の新境地にして最高傑作。