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「明解日本登山史 エピソードで読む日本人の登山」布川欣一

2017年12月01日 21時20分42秒 | 読書(山関係)


「明解日本登山史 エピソードで読む日本人の登山」布川欣一

エピソードを交えながら、日本登山界の歴史を概観する作品。

青森第五連帯が八甲田山雪中行軍で大量遭難――いわゆる八甲田山死の彷徨について
P86
このような過酷な雪中行軍を軍部首脳が現場に強いたのは、当時の国際情勢に関係がある。日清戦争後の三国干渉、朝鮮半島や中国北東部(満州)における権益をめぐって、日本とロシアとの対立が激化していた。軍部首脳はロシアとの戦争を想定し、雪中軍事行動の経験と訓練の必要性を強く感じていたのである。

ナイロン・ザイル切断事件について
P173
岩稜会へは非難が集中した。ザイル操作のミス、虚偽の報告書捏造、インチキな石岡実験、さらには遺体に工作を施した……など。
しかし、岩稜会はひるまなかった。メーカーと篠田教授が、実はナイロン・ザイルが90度の岩角でさえ切れるのを承知しており、公開実験であらかじめ滑らかに面取りした花崗岩を用いたことを突きとめる。事件は、大逆転へ動き始めた。

元祖・山ガール
P139

上の写真は、長次郎雪渓を登る竹内ヒサ
下の写真は、針ノ木雪渓にて、竹内ヒサと妹の岡田季(右)

【ネット上の紹介】
日本近代登山発祥から120年あまり。日本人は山とどう向き合ってきたのか。先蹤者たちの数々の挑戦と思索の歴史、社会とのかかわりを通史として解説し、時代を象徴するエピソードを紹介する。
第1部 近代登山以前の山と人(日本人と山とのかかわり
外国人による登山 ほか)
第2部 探検登山の時代(近代登山の幕開け
日本山岳会設立と探検登山 ほか)
第3部 岩と雪の時代(アルピニズムの洗礼
積雪期初登頂とクライミング ほか)
第4部 多様化する登山(復興の足音
マナスル登頂と登山ブーム ほか)
第5部 日本登山史年表