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「私の箱子」一青妙

2020年10月07日 07時59分48秒 | 読書(台湾/中国)
「私の箱子」一青妙

父と母の思い出を書いたエッセイ。
父は台湾人、母は日本人。
幼少期は台湾で育ち、11歳から日本で暮らし始める。
妹は歌手の一青窈。

P29
父の名前は顔恵民。実家は台湾五大財閥の一つで、有名な鉱山王である顔家だった。

P53
私の母子手帳には、
「言葉を喋り始めるのが普通の子より大分遅く、母親としてとても心配した」と記されている。
それでも話し始めたら、とたんにスラスラ三カ国語を使い分けるようになっていた。
家の中や日本語の通じる親戚とは日本語で。
父の会社の職員とは中国語で。
買い物をする市場では台湾語で。

P59
九九は中国語で覚えたため、暗算するときは無意識で頭の中で中国語を使っている。

P61
台湾時代に撮りためた旅行写真には、日月譚や阿里山、故宮に太魯閣、花蓮、陽明山、九份、基隆など、台湾の主たる観光名所がたくさん収まっている。

P78-79
1981年、すぐに日本での生活が始まることになった。(中略)
最初の変化は私の苗字。日本の生活に適用しやすいように、父の姓の「顔」から母の姓の「一青」になった。
「一青」という姓は日本で珍しく、そのルーツは石川県にある。能登半島の鳥屋町に一青という地区があり、母の一族はそこの出身だ。

P177
顔家はもともと金鉱と鉱山で大きくなり、閉山後、バス会社、海運会社などの多角経営をおこなってきたが、いまではそのほとんどがなくなっていて、金鉱と炭鉱のあった九份の不動産管理と合金を生産している工場だけの会社になってしまっている。(バス会社「台北客運」も顔家のものだったが売却された)

P230
顔家の始まりは、孔子の弟子で一番の秀才だった「顔回」なのだという。だから、顔家は代々儒教を重んじてきたらしい。(どんだけ古いんだ!紀元前まで遡るのか?)

【ネット上の紹介】
台湾人の父と日本人の母、そしてかわいい妹。四人で暮らした思い出の家を取り壊すとき、段ボールの中から偶然見つかった「箱子」。そっと覗き込むと、「家族の記憶」が溢れ出した。家族の「果てない絆」をみずみずしい筆致で描く初エッセイ。
私の箱子
台湾の“野猫”
閉ざされた部屋
母が逝く
顔家物語
「顔寓」の主
台湾妙―あとがきにかえて