「隠居すごろく」西條奈加
主人公は、老舗糸問屋の店主・徳兵衛。
還暦を機に隠居生活に入った。
平穏な日々が訪れるかと思ったら、とんでもない。
老後、新たな人生が始まる!
さすが西條奈加作品、レベルが高い。
人情ものを書かせたらトップクラス、と思う。
面白いから読んでみて。
P234
「経世在民という言葉は、ご存じでしょうか?」
「うむ、一応はな。商人仲間の寄り合いなぞで、たまに耳にするが」
「昨今は、経済とも言うそうです」
「経済・・・・・・それは耳新しいですね」
経世在民とは、唐の古い書物にある言葉で、世を治め、民の苦しみを救うことを意味する。もともとは治世、つまりは政治や行政のあり方を示唆していたが、貨幣の流通が盛んになると意味合いが変わってきて、生産や消費、売買などをさすようになった。
P258
寺町奉行・町奉行、・勘定奉行は三役と称されて、いわば後の出世に繋がる花形の役目であったが、町奉行と勘定奉行が旗本の役職なのに対し、寺社奉行だけは大名が指名される。
【参考リンク】
西條奈加「隠居すごろく」 何歳からでも人は変われる|好書好日 (asahi.com)
【ネット上の紹介】
巣鴨で六代続く糸問屋の嶋屋。店主の徳兵衛は、三十三年の働きに終止符を打ち、還暦を機に隠居生活に入った。人生を双六にたとえれば、隠居は「上がり」のようなもの。だがそのはずが、孫の千代太が隠居家を訪れたことで、予想外に忙しい日々が始まった!千代太が連れてくる数々の「厄介事」に、徳兵衛はてんてこまいの日々を送るが、思いのほか充実している自分を発見する…。果たして「第二の双六」の上がりとは?