「世界裁判放浪記 」原口侑子
P48・・・2011年バングラデシュ、タンガイルの街にて
私たちは縁石に座ってチャイをごちそうになり、おしゃべりをしていた。女の子の1人は「日本は遠い国?」と聞いた。私はそうだと言った。(中略)
「こことは全然違うの?」
「うーん。あまり変わらないかな。日本の人もお米を食べてお茶を飲む。でも、日本のお茶は、甘くない」
「えー!甘くないお茶なんてあるの」
P201
ブラジルでは、大統領だけでなく、誰がどんな裁判をしているかもネットで検索できるのだという。かたや日本では、注目の裁判は裁判所に並んで傍聴券の抽選を待つ。
P203
日本の紙証偏重主義はおそるべきものである。刑事裁判では、弁護人側が検察官の手元にしかない証拠をコピーしないといけない。コピーに1枚40円かかる地域もある。原則は被告人の自己負担で、コピー代に600万円支払った事件もあるという。
P259
娼館街は、付近にある女学校から訴えられ、2020年になってまたつぶされたという話を、タンガイルの友人経由で聞いた。
P336
ルワンダでは、裁判ももう何年も前からIT化されている。提訴するのもオンライン。支払もオンライン。
「通信がない人たちをどうカバーするかは課題になっている。(中略)政府がサービスセンターを作ったりNGOがステーションを作ったりして、サポートできる体制を作ればいい。日本は?」
「日本は逆だな。『ネットを使えない人もいるから』を理由に、新しい技術の導入を先送りにしている。まだ裁判所は『ファクシミリ』を使っている」(ファクシミリは、既に「遺物」としてスミソニアン博物化に展示されているらしい。日本は新しいもの好きなわりに、現状維持にもこだわる。キャッシュレス化も進まない。プリペイドカードも複数あり不便。統一してほしい。台湾には悠遊カード、香港には八達通カードがあり旅行者には便利。インバウンドで海外の方が大勢来られているが、現金支払が多くて困っていると聞く)
【朝日新聞記事】2023年11月19日
【ネット上の紹介】
とある法律事務所に勤めていた弁護士は、あるとき世界各国放浪の旅にでる。目的の1つは裁判傍聴。訪れる先々で法廷へ赴き、傍聴したその国は30カ国。各国で出会う魅力的な人々や文化、緊張感漂う法廷内外の様子、裁く者・裁かれる者たちの人間模様を、ときに弁護士、ときの旅人の視点でみずみずしく描く。番外編として東京地方裁判所での裁判員裁判をおった迫真のルポも収録。
第1部 ユーラシア(その一)
第2部 アフリカ(その一)
第3部 アフリカ(その二)
第4部 ユーラシア(その二)
第5部 北太平洋と南米
第6部 ユーラシア(その三)
第7部 南太平洋