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「旅ごころはリュートに乗って」星野博美

2024年02月11日 08時26分06秒 | 読書(エッセイ&コラム)

「旅ごころはリュートに乗って 歌がみちびく中世巡礼」星野博美
 
星野博美さんエッセイ、再読。
「みんな彗星を見ていた」の姉妹編。

グリーンスリーヴス
P17
イングランド民謡といわれるこの曲だが、実はヘンリー8世作という根強い説がある。後に妻となって斬首刑に処せられるアン・ブーリンへの求愛を表現した曲だとか。

P88
「処女聖マリアの被昇天の教義」が、ローマ教皇(ピウス12世)によって全世界に向けて交付されたのは、比較的最近のことで、なんと1950年だという。逆に言えば、それまでカトリック教会では、聖母の扱いに決着がついていなかったということだ。

P170
セビーリャでもアルカサルを訪れた。このアルカサルは、ミュージシャンのPVのロケ地に使われたり、アメリカのテレビドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の一場面に登場したりする、モーロ〈北アフリカのイスラーム〉文化と中世ヨーロッパが融合した大変美しい建造物である。
 
P223
長い時代と広い地域をカバーするカンティガでは、それが隣町に住むイスラーム教徒であろうと、ビザンツ帝国を苦しめたアラブ人であろうと、オリエントで頭角を現し始めたテュルク人であろうと、モロッコのベルベル人であろうと、ざっくり「モーロ」と表現する。

P225
カンティガが隠したい、最も濃い陰は、この歌集に内包された反ユダヤ主義ではないだろうか、という予感がした。

P234
ノートル・ダムは訳せば「我らが淑女」で聖母マリアを意味する。つまり『ノートル・ダムの奇跡』はカンティガと同じく、まさに聖母の奇跡集なのだ。
 
P291
「サントス」は聖人を指していたのか。そして「御作業」とは生涯だったのか・・・・・・。つまりこの本は、聖人伝だったのである。
 
 
【ネット上の紹介】
我ら、死に向かって急ごう、罪を断ち切ろう…“死の舞踏”が脳裏に踊った時代、人は何に心のよりどころを求めたのか?リュートに魅せられ、時空を超えた旅に出た。舞台はルネサンスから中世へ、やがてキリスト教の深淵へ―。
グリーンスリーヴス(イングランド民謡)
ピーヴァ(ヨアン・アンブロージオ・ダルツァ)
千々の悲しみ(ルイス・デ・ナルバエス)
死に向かって急ごう(『モンセラートの朱い本』)
天にあまねく我らが女王よ(『モンセラートの朱い本』)
死の舞踏(ハンス・ホルバイン)
聖母マリアの七つの喜び(カンティガ一番)
聖母の御業に驚くなかれ(カンティガ二六番)
コンスタンティノープル包囲(カンティガ二八番)
コンスタンティノープルを守った聖母のイコン(カンティガ二六四番)
右手を斬られたダマスコの聖イオアン(カンティガ二六五番)
モーロ王の嘆き(グラナダのロマンセ)
マラケシュを救った聖母の御旗(カンティガ一八一番)
気がふれたホスピタル騎士団の修道士(カンティガ二七五番)
殺されたユダヤ人の子ども(カンティガ四番)
ユダヤ人に汚されたキリストの像(カンティガ一二番)
囚われ人は決して(「獅子心王」リチャード一世)
聖人と福者
サントスの御作業
日本の殉教伝
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