「のりたまと煙突」星野博美
星野博美さんのエッセイ。
久しぶりの読み返し。
P162
私はどうしても猫を室内に閉じこめることができない。自由を好む猫を閉じこめなければならないくらいなら、飼わないほうがいいとさえ思っている。しかし自由にするとは、リスクを負うことだ。自由にしたために、しろは交通事故で左の後ろ足をつぶされ、ゆきは誰かにいたずらされて尻尾を折られた。
そして猫を自由にさせることの最大の皮肉は、飼い主を捨てる自由を与えるということだった。
P172
日本でお盆といえば、先祖が地上に戻ってくるという印象が強いが、香港ではその晩にあの世の門が開き、先祖だけでなく、ありとあらゆる「鬼(=霊魂)」が地上に戻るという、恐れに満ちた節目である。
P182・・・香港の話
「昔は、郵便屋さんがうちの前まで来ても、賄賂を渡さなければ手紙をくれなかったんだよ」
【誤植】P259
逃げ出したそうだった
↓
逃げ出しそうだった
【ネット上の紹介】
すべてを忘れて、私たちは幸せに近づいたのだろうか…。吉祥寺と、戸越銀座。著者はさまざまな猫たちとの出会いと別れを経験し、生と死、そして忘れえぬ過去の記憶へと思いをめぐらせていく。さりげない日常からつむぎ出される短篇小説のようなエッセイのひとつひとつに、現代への警鐘と内省がにじむ。
[目次]
第1章 木春菊
第2章 梅
第3章 桜
第4章 百合
第5章 萩
第6章 芒
第7章 彼岸花
第8章 柳
第9章 柊
第10章 松
第11章 雪柳
第12章 躑躅