「仮面後宮 女東宮の誕生」松田志乃ぶ
新シリーズ発動、しかも平安朝が舞台。
松田志乃ぶさんは、このところ単発の現代ものばかり。
それはそれで面白いんだけど、時代物はそれだけで格別感がある。
「嘘つきは姫君のはじまり」シリーズに匹敵する長い作品になってほしい。
ちなみに、「嘘つきは姫君のはじまり」シリーズは、本伝11冊+外伝2冊。
P192
「兄は報酬を期待せずに他人に親切を施す人間ではありません。示した厚意があるならば、必ずそれに見合うだけのものを回収しているはずです。今までも、これからも、義兄が贈りものとして気前よく広げて見せる美しい布には、必ず下心という厚い裏地が縫いつけてあることを覚えておかれたほうがよろしいでしょう。
(「小さな親切大きな下心」というフレーズがあるくらいだから。はたまた「信じる者は騙される」という金言もある。カップルには「性交は失敗の素」という格言を送りたい)
【感想】
今のところ、ミステリ要素の高い作品になっている。
「嘘つきは姫君のはじまり」でも殺人事件が起こったりして、要所要所にミステリ要素があった。本作品でも、いずれ違う要素も出てくるんでしょうか? 新たなキャラクターも登場するのでしょうか?
「嘘つきは姫君のはじまり」も、途中から五節と姫子が登場したりして、ストーリーとキャラクターに幅がでてきたし。
【参考リンク】
「嘘つきは姫君のはじまり」再読
「悪魔のような花婿」再読
「赤ちゃんと教授」松田志乃ぶ
「ベビーシッターは眠らない」松田志乃ぶ
「かぐや姫三世 わたしを月まで連れていって!」松田志乃ぶ
「号泣」松田志乃ぶ
【ネット上の紹介】
平安末期。葡萄(えび)病(や)みという謎の疫病が猛威をふるう京の都。多数の庶民が命を落とす中、宮廷でもまた、東宮(皇太子)三人が立て続けに死亡するという前代未聞の事態が起こり、貴族たちは恐怖と混乱に陥っていた。そこへ、大斎院(だいさいいん)と呼ばれ、強力な予言力をもつ賀茂の老巫女から神託が届けられる。大斎院いわく、このたびの疫病の災いは皇族の男子に集中している、そこで次の東宮には一時、皇女を立てるべきである、女東宮がしばらく皇太子の座を守れば、神仏の加護により、皇族男子の死は必ずや止まるであろう──とのことだった。帝の兄であり、実質的にこの国を支配している上皇、八雲の院はこの神託を受け入れることを決定し、ただちに女東宮の候補となる数人の皇女たちが選び出される。都から離れた宇治の地で、両親を亡くし、双子の弟である映(はゆる)の宮と、妹の貴(あて)の宮とともに人々から忘れ去られた寂しい暮らしをしていた十六歳の火の宮も、そのうちの一人だった。女東宮候補となった火の宮を待つ、試練とは―――。