「残照の頂 続・山女日記」湊かなえ
約7年ぶりの続編。
次の4編が収録されている。
後立山連峰
北アルプス表銀座
立山・剱岳
武奈ヶ岳・安達太良山
P87
山岳部員でもないのに。体育会系の部活動にいっさい関わらず、運動するのは体育の授業の時だけだった私が、大学生になってから、どうしてこんな修行のようなことをするはめになったのか。しかも、音大で。
P222
山岳部の男子のほとんどが、山をやらない女の子が好きだったもんね。(中略)
山男と山に行かない女は、案外うまくいくのに、その逆は、どうして成立しなかったんだろう。(男って自分の得意分野での格好いいところを女子に見せたい、ってのがある。だから、その逆・・・彼女の得意分野で、かっこ悪いところを見せたくないのかも)
P270
介護を終えたからって、じゃあ山に登りましょうって気分にもなれなかった。よし、解禁!なんて割り切れると思う?それって我慢していたのを認めることになるじゃない。自分の人生の一部をつらいものだったと決定付けてしまうことになるじゃない。
むしろ、山なんて登らなくても、人生は楽しいんだ、わたしは幸せなんだって証明してみたいじゃない。
PS
本作品は、BSプレミアム「山女日記3」原作小説。
(ちなみに、私は観ていない)
【関連図書】
「山女日記」湊かなえ
P174に、湊かなえさんのインタビューが掲載されている。
山と渓谷 2014年8月号
【ネット上の紹介】
亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。(『後立山連峰』)。失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。(『北アルプス表銀座』)。娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。(『立山・剱岳』)。コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。(『武奈ヶ岳・安達太良山』)。日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。山頂から見える景色は、これから行くべき道を教えてくれる。