「いつか陽のあたる場所で」「すれ違う背中を」「いちばん長い夜に」
約5年ぶり読み返し。
P122「いちばん長い夜に」
「私は私なりに、自分のことをよく知っているつもりです。私のような人間は、一人で生きて、一人で死んでいくべきだと思っています」
P313
冬至は古くから「生まれ変わり」の日と考えられてきたのだということだった。この日を境に、再び日一日と昼間の時間が長くなっていく。つまり太陽が生まれ変わって、また新しい1年を築き始めるという考え方があるのだそうだ。
だからこそ冬至には、これから新たに運が向きますようにと願いをこめる。
著者あとがきより
小森谷芭子と江口綾香には、共に前科持ちという事情がある。罪を犯した代償として人生を大きく狂わせ、多くのものを失った彼女たちにとっては「取り立てて大きなことの起こらない日常」こそが貴重であり、かけがえのないものに違いない。(中略)だから、「あえて何も起こらない話」にしようと思っていた。
この物語が、まさかこういう終わり方をするとは、私自身もまったく予測していなかった。だが、生き残ったものは生き続けなければならない。体験したことを決して忘れることなく、胸に刻みつつ、それでも諦めずに。芭子と綾香とは、既に新たなステップに踏み出している。
【リンク】
「いつか陽のあたる場所で」乃南アサ
「すれ違う背中を」乃南アサ
「いちばん長い夜に」乃南アサ
【ネット上の紹介】
前科持ちの刑務所仲間―それが芭子と綾香の関係だった。“過去”に怯えながらも、東京の下町に居場所を見つけて、ゆっくりと歩き始めた時、二人は自分たちの大きな違いに気づき始める。人を殺めるとは何か。人が生きていくとは何か。亡くなった人間が残すものとは何か。そして、いつか、彼女たちの長い夜は明けるのだろうか?