「垂直の記憶」山野井泰史
自らの半生を振り返った自伝。
次の7章から構成されている。
第1章 八〇〇〇メートルの教訓―ブロード・ピーク
第2章 ソロ・クライミングの蘇生―メラ・ピーク西壁とアマ・ダブラム西壁
第3章 ソロの新境地―チョ・オユー南西壁
第4章 ビッグウォール―レディーズ・フィンガー南壁
第5章 死の恐怖―マカルー西壁とマナスル北西壁
第6章 夢の実現―K2南南東リブ
第7章 生還―ギャチュン・カン北壁
P85
クライマーは常に上のレベルを目指して登続ける。より標高の高い山、そしてよりテクニカルなルート、これらはトップクライマーでなくても一般のクライマーにも言える習性であり、レベルを上げようとする努力が歴史を作り、文化を守ってきたとも言える。
P211
過呼吸のためか体が少々痺れるので口と鼻を覆い、呼気の中の二酸化炭素を吸う。こうして呼吸中枢を刺激してやらないと、呼吸が浅くなってかえって酸欠に陥って仕舞うのだ。
P276
――生活費はいくらかかります?
「必ずいるのは家賃ですよね。これが2万5000円で、あと、なにかなぁ、妙子、どうだった?」
「さあ・・・・・・、1万円を超すのは2人の生命保険だけでしょうか。お米は滋賀の実家から送ってもらっているし、おかずだってなければ近くに生えているものを摘んでくればいいし・・・・・・。山から下りて泰史が食べたがるのも大盛りのチャーハンだしね」
そういわれた山野井は、ふっふっふっと笑った。生活費は月12、3万もあれば十分とのことだった。
【関連図書】
「凍」沢木耕太郎
【参考リンク】
「山と渓谷」2010年12月号
【覚書】
2023年度ジム年会費支払。
覚書として記載しておく。
【ネット上の紹介】
2002年秋、山野井泰史は、ヒマラヤの難峰ギャチュン・カンに単独登頂後、下降中嵐につかまり、妻・妙子とともに決死の脱出を試みる。高所でのビバーク、雪崩の襲来、視力の減退、そして食料も登攀具も尽きたなかで、彼らは奇跡的に生還した。初めて自らのクライミングの半生を振り返り、激しい登攀への思いと未来への夢を綴った再起への物語。