「終わらない歌」宮下奈都
先日読んだ「よろこびの歌」の続編。(→「よろこびの歌」宮下奈都)
とても良かったので、すぐ取り寄せ読了。
続編だけど、面白さ失速せず。
レベルをキープ、というか、さらに盛り上がる。
あれから3年後、という設定。
「よろこびの歌」紹介のコメントで、ヒロインの身体能力低すぎ、と書いたが、
著者も分かって書いておられたのだろう。
次のように書かれている。
P105
「身体鍛えなよ」
早希は唐突に話題を変えた。
「鍛えるってどこを」
間に入るように里絵子が尋ねる。トレーニング、といっていた千夏の声を思い出した。この子たちはきっとじゅうぶんに鍛えているだろう。さらにトレーニングするとしたら、どこなんだろう。
「だって、オペラ歌手ってたいてい体格いいじゃない。玲も千夏も華奢でしょう、身体から作っていくことも考えたらどうかな」
ここからネタバレ状態となるので、未読の方、ご注意。
P207
「何を歌いましょうか」
よし、肝が据わった。落ち着いた声が出た。隣で千夏が息を殺してこちらを見ているのがわかる。千夏はきっと驚いている。私がこんなに本気になっているとは思っていなかったかもしれない。
「なんでもいいわよ。あなたのいちばん好きな歌を歌ってください」
(中略)
いちばん好きな歌。とっさに浮かんだのは、大学で日々レッスンを受けているオペラの歌曲ではなく、『麗しのマドンナ』だった。千夏がそこにいたせいかもしれない。十七歳の秋、私を歌うことに引き戻してくれた歌だ。
【ネット上の紹介】
卒業生を送る会の合唱から3年、少女たちは二十歳になった。御木元玲は音大に進学したが、自分の歌に価値を見いだせなくて、もがいている。ミュージカル女優をめざす原千夏が舞台の真ん中に立てる日は、まだ少し先みたいだ…。ぐるぐる、ぐるぐる。道に迷っている彼女たちを待つのは、どんな未来なんだろう。