MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『君のまなざし』

2017-06-02 22:41:11 | goo映画レビュー

原題:『君のまなざし』
監督:赤羽博
脚本:大川宏洋
撮影:木村弘一
出演:梅崎快人/水月ゆうこ/大川宏洋/日向丈/手塚理美/黒田アーサー/黒沢年雄
2017年/日本

齟齬をきたしている「まなざし」について

 主人公で大学生の神代健太は平成14年の5歳の頃に両親を亡くし、姉の華子に育てられていたのだが、その華子も5年後に病死してしまい、健太は親戚の家に引き取られた。ところがその家の息子に嵌められてすぐにその家からも飛び出してしまうのだが、その後、新聞配達の奨学生として住み込みで働きながら高校に通うところまで健太がどのように過ごしていたのかは描かれていない。健太が建築現場で両親がいないという理由で先輩たちにいじめを受けるのであるが、健太と似たような境遇の労働者は建築現場という場所には結構多くいると思う。
 自分が育てていた十数人の幼い子供たちを全員虐殺されて、「自分を成長させる試練である」と言われても、自分の成長と子供たちの死は関係ないのだから、死後の世界の存在を信じない限りどだい無理な理屈だと思う。
 このように結構脚本は荒いと思うが、例えば、いまどき石井輝男のようなグロい作品を豊富な予算で撮るような制作会社は宗教団体でもなければできないであろうし、脚本はともかく、神代健太の親友の橘朝飛を演じた大川宏洋の「怪演」はなかなかの見ものではある。歌は上手くはないけれど。
 ところで私が観賞した時は、ほとんどの観客が高齢者で、本作がターゲットとしていると思われる若者がいなかった。明らかに齟齬をきたしている。


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