MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『パトリオット・デイ』

2017-06-19 00:06:05 | goo映画レビュー

原題:『Patriots Day』
監督:ピーター・バーグ
脚本:ピーター・バーグ/マット・クック/ジョシュア・ゼトゥマー
撮影:トビアス・シュリッスラー
出演:マーク・ウォールバーグ/ケヴィン・ベーコン/ジョン・グッドマン/ミシェル・モナハン
2016年/アメリカ

「足」にまつわる不穏な「物語」について

 まずは2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側でこのような派手な逃走劇があったことに驚かされたのであるが、本作はその派手な逃走劇の裏に隠された繊細な演出も注目されるべきであろう。
 主人公のトミー・サンダース刑事は同僚を殴ったことで謹慎させられ、復職のための研修目的で現場に駆りだされるのであるが、容疑者が隠れている部屋のドアを蹴破ろうとした際に、膝を痛めてしまう。その晩(事件が起こる前の晩)、妻のキャロルと地元のメジャーリーグのボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)が話題になった際に、トミーはキャロルの「ソックス(Socks)」という発音が間違っていると指摘する。キャロルは「ソークス(Soaks)」と発音しているのであるが、「レッドソークス(Red soaks)」と解釈するならば、「赤が滲む」となる。つまりここで既に「足」にまつわる不穏な空気を醸し出しているのである。
 実際に、爆破が起こった現場にいたカップルが足を負傷し、病院で2人共に膝から下を切断せざるを得なくなるのであるが、クライマックスにおいてジェフ・ピュジリーズ巡査部長が犯人の一人であるタメルラン・ツァルナエフの足を撃ったことをきっかけに事件は解決の方向に向かうのである。
 それにしてもタメルランの妻であるキャサリン・ラッセルの言動には驚かされた。幼い娘と引き離されても爆弾の在りかを警察に白状しない強い信念は、私の知る限り怪我をして輸血が必要な瀕死の子供に対する輸血を拒否して子供を死なせてしまったエホバの証人の信者のそれと重なる。


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