東京の渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは「ソール・ライター展」が催されていた。
ニューヨークにある国際写真センターの副館長であるポリーヌ・ヴェルマール(Pauline Vermare)が
「ソール・ライターはニューヨークのナビ派であった。(Saul Leiter was the New York Nabi.)」と
評するように、写真家であるソール・ライターのカラー写真はナビ派の画風にエドワード・ホッパー
(Edward Hopper)の作風を付け加えた感じである。
それは「無視されることは偉大な特権である。」「幸せの秘訣は何も起こらないことだ。」という
ライター自身の言説が彼の作風を決定づけ、期限切れのフィルム(expired Kodachrome film)を
駆使して晩年に名声を得ることになるのだが、そんなライターをアメリカのフォトグラファーの
ヘンリー・ウルフ(Henry Wolf)は「ソール、君は機会を逸することに長けている。
(Saul, you have a talent for avoiding opportunities.)」と評している。
ソール・ライターは結婚していないようであるが、ソームズ・バントリー(Soames Bantry)と
いう画家と彼女が亡くなる2002年まで交際していたようである。