上野の国立西洋美術館では「アルチンボルド展」が催されている。ジュゼッペ・アルチンボルド
(Giuseppe Arcimboldo)の「法律家(The Jurist)」は1566年に制作された作品である。
本作を見て日本人ならば誰もが思い浮かべる絵は歌川国芳の「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」
(1847年)であろう。
「法律家」は鳥と魚で人間の顔が形成されているが、国芳の作品では人間の体で形成されている
だけの違いである。影響というよりも変わり者はどこにでもいるということだと思う。
ところで英語版のウィキペディアではモデルをドイツ人のウルリヒ・ツァジウス(Ulrich Zasius)
としているのだが、ウルリヒ・ツァジウスは1461年生まれ、1536年に亡くなっているから
1566年に制作された作品と時代が合っていない。だから本作のモデルは彼の息子である
ヨハン・ウルリヒ・ツァジウス(Johann Ulrich Zasius)の方であろう。