原題:『The Light Between Oceans』
監督:デレク・シアンフランス
脚本:デレク・シアンフランス
撮影:アダム・アーカポー
出演:マイケル・ファスベンダー/アリシア・ヴィキャンデル/レイチェル・ワイズ
2016年/アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド
戦争後も続く人生の選択の厳しさについて
1918年の12月、主人公のトム・シェアボーンは第一次世界大戦に従軍したことですっかり疲弊し、世の中の喧騒から逃れるようにオーストラリア西部のバルタジョウズ岬から160キロ離れたヤヌス島の灯台守の仕事に就く。前任者が復職するまでの臨時採用だったが、精神を病んだ前任者の復職の見通しがたたないことに加え、トムの仕事ぶりが高く評価され間もなくして正式採用になる。
バルタジョウズの街で世話をしてくれるグレイズマーク家の娘のイザベルに気にいられたトムはしばらく文通した後に、結婚するのであるが、最初の子供を妊娠するも1921年5月31日に流産してしまい、次の子供も1923年7月25日に流産してしまう。
7月27日に漂流しているボートを見つけたトムがイザベルと向かうと、既に亡くなっている男性と一緒に泣いている赤ん坊を見つける。流産したばかりのイザベルの懇願にトムは強く言えず、男性を埋葬してから赤ん坊をルーシーと名付け自分たちの子供として育てることにするのである。
2年後のルーシーの洗礼式の際に、トムは教会の墓地で2年前にフランコというドイツ人の夫とグレイスという名前の赤ん坊を失ったハナ・ローエンフェルトという女性の存在を知り、トムはとりあえずハナの娘は生きているということを匿名の手紙で知らせる。
その2年後、灯台建設40周年を祝う式典に出席したトムとイザベルとルーシーは、ハナと彼女の姉のグウェン・ポッツと知り合い、イザベルは事実を知り、ハナとグウェンの姉妹も薄々感づくことになる。トムは全ての罪を負うために、ハナが娘に関する情報に懸けていた懸賞金を、いつも自分を島まで送迎してくれていた若者が手に入れられるように細工した後に、トムは投獄される。イザベルはトムの「裏切り」を許すことができず亡くなっていた男性は生きており、トムが殺したと裁判で嘘をつき、トムは一人で罪を負うつもりだったが、移送するためにトムを乗せた船が出港する直前に、イザベルが事実を告白し、2人ともに罰が下される。
それから23年後の1950年、イザベルは病気で亡くなり、独りで暮していたトムのところへルーシー=グレイスが赤ん坊を連れて訪れ、彼女は4年間育ててくれたことに感謝していることを伝える。
トムは戦争が終わった後でも絶えず厳しい選択を迫られる。イザベルの愛を拒むわけにもいかず、まるで神からの贈り物のように漂ってきた赤ん坊に対するイザベルの想いを否定するわけにもいかず、ハナの気持ちも無視するわけにはいかないトムの言動に筋を通すために他にどのような選択があったというのだろうか。