MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『LOGAN/ローガン』

2017-06-12 00:38:36 | goo映画レビュー

原題:『Logan』
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド/スコット・フランク/マイケル・グリーン
撮影:ジョン・マシソン
出演:ヒュー・ジャックマン/ダフネ・キーン/パトリック・スチュワート/ボイド・ホルブルック
2017年/アメリカ

決してキリストにはなれないヒーローの最期について

 「マーベル・コミック」作品の中では出色の出来栄えだと思う。ここではラストシーンを取り上げてみたい。
 ローガンを埋葬後、ホテルのテレビで観た『シェーン(Shane)』(ジョージ・スティーヴンス監督 1953年)の一節を引用しながら弔辞を述べるローラ・キニ―のシーンのBGMにはジョニー・キャッシュの「ハート(Hurt)」が流れるのであるが、この引用の組み合わせが絶妙なので、それぞれ和訳しておきたい。
 ローラ「男というものはなるべき者であらねばならないんだ、ジョーイ。ブレてはダメなんだ。殺し屋との生活はありえない。後戻りできないんだ。正しかろうが間違っていようが殺しという烙印は捺され、ずっとまとわりつく。おまえは母親の元に走って帰れ。全てのけりはついたと母親に言えばいい。この渓谷にもう銃は無いと言うんだ。(A man has to be what he is, Joey. Can't break the mold. There's no living with the killing. There's no going back. Right or wrong, it's a brand. A brand that sticks. Now you run on home to your mother... you tell her everything's alright. There are no more guns in the valley. )」

「Hurt」 Johnny Cash 日本語訳

今日、俺は自分自身を傷つけた
まだ感覚が残っているのか確かめるために
俺は痛みに集中する
それだけがリアルと感じられるから
針が皮膚を通る
いつもの馴染みの刺激で
痛みを全て取り去ろうとするのだが
何ひとつ忘れられない

俺は成長しているだろうか?
愛しき友よ
結局、俺は知り合ったところでみんないなくなってしまう
おまえは全てを手にいれられるだろうが
俺の帝国は泥でできているから
俺はおまえを落胆させ
傷つけることになるだろう

俺は棘でできた冠をかぶり
嘘つきの椅子に座り
壊れた思いやりに満ち溢れる
汚点まみれの時間の下で俺は回復できない
感情は消滅し
おまえは別人のようなのに
俺はまだここにいる

俺は成長しているだろうか?
愛しき友よ
結局、俺は知り合ったところでみんないなくなってしまう
おまえは全てを手にいれられるだろうが
俺の帝国は泥でできているから
俺はおまえを落胆させ
傷つけることになるだろう

もしも俺がもう一度やり直せるならば
ずっと俺は自分自身を見失うことなく
新たな道を見つけるだろう

 そしてローラは土葬されたローガンの上に立てられた十字架を傾ける。決してキリストにはなれず、X-MENとして死んだ男として記憶されるべきだと思ったからであろう。


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