MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』

2017-06-17 00:32:35 | goo映画レビュー

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原題:『笑う101歳×2 笹本恒子 むのたけじ』
監督:河邑厚徳
脚本:河邑厚徳
撮影:中野英世/海老根務
出演:むのたけじ/笹本恒子/谷原章介
2016年/日本

「よく分からない」の恐怖について

 ここでは作品前半のむのたけじと笹本恒子の対談時のエピソードを取り上げたい。笹本は第二次世界大戦が起こる頃に家に自転車が近づいてくる音を聞くと夫との会話が途切れるという話ををしていた。その自転車が「赤紙」を運んできたのではないのかという恐怖が2人を黙らせるのであるが、自転車が通り過ぎたら、まるで何事もなかったかのように会話を続けたそうである。
 その話を引き継ぐようにむのたけしは当時の新聞記者としての「心得」を話し出す。政治家の斎藤隆夫を引き合いに出しながらむのは、相手が一人の場合は、もしその時に交わされた情報が漏れたならば相手が誰かはっきりわかるが、三人以上になるとどこから情報が漏れたのか分からなくなる。つまり問題なのはこのように自分で「忖度」することで自己規制(=セルフコントロール)がかかってしまうことだと喝破している。「テロ等準備罪」、いわゆる「共謀罪」が成立した今日、本作が上映される意義は深い。


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