原題:『めがみさま』
監督:宮岡太郎
脚本:大月もも
撮影:根岸憲一
出演:松井玲奈/新川優愛/廣瀬智紀/梅舟惟永/尾美としのり/鈴木ちなみ/筒井真理子
2017年/日本
自己啓発セミナーの「めがみさま」の正体について
主人公の佐倉理華は医療事務員として働いているのであるが、2人の同僚から虐めを受けており、家では世間体を異常に気にする母親の市絵からのプレッシャーで精神安定剤のエチゾラムを手放すことができない。
作品の冒頭で理華と市絵が一緒に食事をしている最中に、子供の泣き声が聞こえてきて、市絵が怒りだす。これを伏線として家出をした理華がセラピストのラブとレストランで食事をしている際に、泣いている子供に対して怒っていた男性客に対して理華が子供を庇うために怒りを発することで、母親に対しての反抗を遂げるのである。
自分の人生を自ら切り開いたように感じた理華だったが、雑誌記者の三坂あゆみの取材を通して自分が好きなように生きるというラブの教えに疑問を抱くようになる。そんな時に、ラブの命令で邪魔になった三坂を殺すことになってしまった理華が運転する車で三坂を運んでいる最中に、車から飛び出た三坂が対向車に轢かれて死んでしまう。考え方は違っていても三坂は理華と同じ精神安定剤を服用しているのだから「同士」ではあったのである。
失意のうちに実家に戻った理華に対して市絵は歓迎するどころか詰難したため怒り狂った理華は市絵の首を絞めて殺そうとしてしまい、その罪悪感も手伝ってついにはラブに刺されることで「自殺」に至るのである。
最初は理華とラブの関係に違和感満載なのであるが、オチには納得できる。三坂が取材していた政治家の名前が「舛坂洋一郎」というのは面白かった。