原題:『Free Fire』
監督:ベン・ウィートリー
脚本:エイミー・ジャンプ/ベン・ウィートリー
撮影:ローリー・ローズ
出演:ブリー・ラーソン/シャルト・コプリー/キリアン・マーフィー/アーミー・ハマー/サム・ライリー
2016年/イギリス
登場人物が多すぎるギャング映画について
場末の倉庫でライフル銃の取り引きを画策した2組のギャングが全く取引とは関係ないところでこじれて敵味方も厭わない銃撃戦に展開してしまうのであるが、この「密室劇」はさしずめクエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(1992年)を彷彿とさせる。
銃を運んできたトラックから流れている曲は、ジョン・デンバーの「緑の風のアニー(Annie's Song)」である。まずは和訳してみたい。
「Annie's Song」 John Denver 日本語訳
君はまるで森の中の夜のように
春の山脈のように
雨の中の散歩のように
砂漠の中の嵐のように
ぼんやりした青い海洋のように
僕の五感を満たしてくれる
君は僕の五感を満足させてくれるから
もう一度僕を満足させてくれよ
僕に君を愛させて欲しい
僕の人生を君に捧げさせて欲しい
僕を君の笑い声に浸して欲しい
君の腕の中で死なせて欲しい
君のすぐそばで横たわらせて欲しい
いつも君と一緒にいさせて欲しい
僕に君を愛させて欲しい
もう一度僕を愛して欲しいんだ
君はまるで森の中の夜のように
春の山脈のように
雨の中の散歩のように
砂漠の中の嵐のように
ぼんやりした青い海洋のように
僕の五感を満たしてくれる
君は僕の五感を満足させてくれるから
もう一度僕を満足させてくれよ
この曲はデンバーが当時の妻のアニーに捧げた曲なのであるが、2人はその後離婚しており、このような曲にまつわる経緯が本作においても不吉さを予感させるのである。
しかし例えば、『レザボア・ドッグス』ではマドンナに関する面白話が披露されるのであるが、本作においてジョン・デンバーに関する面白話をしようとするオードは披露する前にジャスティンに銃殺されてしまうようにダイアローグの面白さに関しては『レザボア・ドッグス』にはかなわないように思う。