MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『リベンジgirl』

2018-01-01 00:45:57 | goo映画レビュー

原題:『リベンジgirl』
監督:三木康一郎
脚本:おかざきさとこ
撮影:吉沢和晃
出演:桐谷美玲/鈴木伸之/清原翔/馬場ふみか/佐津川愛美/大和田伸也/斉藤由貴
2017年/日本

コメディーにかこつけて蔑ろにされる舞台設定について

 『覆面系ノイズ』(2017年)を観たついでといってはなんだが、同じ三木康一郎監督作品の本作を観てみたのだが、かなり酷い出来と言わざるを得ない。もちろんそれは主人公で東大経済学部首席卒業でミスキャンパス1位の宝石美輝の性格の悪さを作品の酷さとして論うわけではない。最近になって東大卒の女性国会議員の醜態が次々とさらけ出されているのだから、宝石美輝の性格の悪さは寧ろ今こそリアリティーを感じられるからである。問題なのは登場人物よりも舞台設定であろう。
 美輝は失恋をきっかけに政治家になって自分を振った斎藤裕雅に対してリベンジを果たすべく彼と同じ神奈川19区に立候補するのであるが、女性初の総理大臣を目指すはずの美輝は与党の民自党ではなく、もちろん裕雅が所属する野党第一党の党でもなく、弱小政党の青和党から出馬し、高齢者や子供たちに親切に対応し、正直に立候補した動機を話したただけで他の候補者に大差をつけて当選してしまうのである。コメディー作品であったとしても余りにも非現実的なストーリー展開に唖然としてしまう。豪雨の中で妊婦にティッシュ配りをさせる会社が存在するだろうか? そもそも美輝は東大を首席で卒業して「BVLGARI」の広報として働いており24歳という設定なのであるが、立候補できる年齢に達しているだろうか? 国政に対する認識が甘すぎるのではないだろうか?
 作品の評価のみならず、興行的にも苦戦しているようで、一部の映画館では本作の代わりに『勝手にふるえてろ』(大九明子監督)に差し替えている惨状である。


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