青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

ふらり立ち寄り中三依

2017年12月09日 13時00分00秒 | 野岩鉄道・会津鉄道

(再び降りたのは我々だけ@中三依温泉駅)

湯西川温泉駅をスルーして先に進みます…とは言ったものの、こっから先に進んでも会津田島までは町らしい町もなく大した観光地がある訳でもないので、湯西川温泉駅の次の中三依温泉駅で下車。朝早くから家を出て来て活動しているもんだから腹が減ったよね。以前この辺りをドライブしていた時に、何軒か食堂みたいなのがあったのと温泉センターがあったんじゃなかったっけ?といううろ覚えの途中下車です。

  

AIZUマウントエクスプレス3号を見送ると、山に囲まれた中三依の郷に静寂が訪れます。とにかく線路の前も後ろも横も山、山、山。少し高い位置を走る野岩鉄道の駅のホームからは、鬼怒川の上流である男鹿(おじか)川に沿って続く会津西街道と、その道に沿って細長く伸びる集落の姿を見る事が出来ます。子供がホームに立って「なーんにもないじゃんこの駅!」なんて悪態を付いていますが、この何もなさが旅気分を引き立てるスパイスである事はもっとオトナにならないと分かんないだろうね。

 

中三依温泉駅前。当然のごとく無人駅。の割には駅前はちょっとロータリーっぽくなっていて整備されている。電車を使うにしても駅まではクルマで送迎する感じなんでしょうねえ。駅の待合室に掲示してあったこの駅の標高は648.8m。起点の新藤原が標高425.3mですからかなり登って来た感じですか。青く澄み切った空は高く、山を降りて来る初冬の風が冷たい。

 

駅前の会津西街道に出てみる。会津と江戸の間を結ぶ会津西街道は会津藩の参勤交代に使われ整備された由緒のある道で、ここ中三依も西街道の宿の一つでした。何となく街道筋の雰囲気と言うか息遣いが宿場町っぽいよね。たまーにクルマが通る他は物音のない静まり返った集落、駅前に出ていた看板を頼りに街道を歩くと、ほどなく現れたいかにも田舎の食堂と言う感じのお店の暖簾をくぐります。どうやら記憶は正しかったみたい。


子供には普通のラーメン、オトーサンはなんかお店の名物っぽい雰囲気のある辛子味噌ラーメンを注文。読んで字のごとくピリ辛の味噌ラーメンを想像していたのだが、出て来たのは溶きタマゴでトロミがついた塩味スープのラーメン。その上にフキと山椒の香りの効いた青唐辛子味噌のようなものが乗っていて、これがめっぽう辛い。想像とは違いましたが、手打ちのモチモチ麺と外の寒さを吹き飛ばす辛くてアツアツなトロミスープがよろしいですな。

  

会津田島での乗り継ぎから逆算すると、ゆっくり食事をしてもまだ1時間以上時間が余っているので、15時半の電車の時間までは駅の近くにあった中三依温泉男鹿の湯で時間を潰すことにします。昔は中三依温泉センターって名前だった記憶があるのだが、リニューアルがされたのかきれいな施設になっていますね。ともあれ子供とのんびり温泉に入り、休憩室でゴロリと横になって子供とうたた寝したり温泉のオーナーらしきご夫婦の子供とじゃれあったり。コテージがあって宿泊も出来るらしい。温泉は透明できれいな硫酸塩系のスベスベしたお湯でした。


温泉入ったりゴロ寝したりしていたらすっかり冬の山里に日は傾き、早くも山の端に太陽が掛かり始めました。AMEの6号が山裾の翳ったレールを中三依温泉駅に滑り込んで行きます。隣の湯西川温泉駅が地下の棒線ホームで交換が出来ないので、ここで交換するダイヤも結構組まれているようです。駅前なのに、道に「クマに注意!」という看板が出ているのもここらへんの山深さを表わしていますが、「クマが出るから早く行こうよぅ」と子供がガチでビビり始めた(笑)。

湯上りの体に冷たい風がピリリと刺す中三依。何にもないですけど、静かで落ち着ける山里です。
コメント
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