青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

阿賀の流れは蒼く冷たく

2017年12月14日 21時35分53秒 | 野岩鉄道・会津鉄道

(一応国の天然記念物です@塔のへつり入口)

国の天然記念物らしい塔のへつり。天然記念物指定されたのが昭和18年の8月らしいのだが、太平洋戦争の戦局がまだ日本優位だったのか、そんな事をしている余裕もあったのかな、と言った感じ。この1年くらい後には「兵隊さんが戦地で頑張ってるんだから物見遊山の旅行禁止!」みたいなお触れが平気で政府広報で出されて、国鉄の切符も長距離のものはよっぽどの理由がないと買えないような極めて厳しい統制経済に陥って行く訳ですが…まあ、どこに行くにもいちいち文句を言われないような平和な世の中が大事なのは、今も昔も変わりません。

  

「塔のへつり」は、阿賀川の流れが大地を刻み、形作られた河食地形の一つ。地層の中でも固いところと柔らかいところがありますので、その浸食の作用は一定でなく、深くえぐれていたり出っ張っていたりと強弱が付いているところが特徴でしょうか。また寒冷期と温暖期で川の流量も一定ではなかったでしょうから、悠久の時の流れの中で長い年月をかけて作り出された自然の造形美とでも申しましょうか。

  

屹立する大岩にはそれぞれ名前が付けられていて、一番大きい舞台岩までは吊り橋で渡る事が出来ます。岩のえぐれた部分を通ると、何だか黒部峡谷の日電歩道っぽさあるよな。そう言えば山歩きする人の言葉で崖にへばりつきながらこんな風に横歩きするのを「へつる」とか言いますけど、「塔のへつり」の「へつり」と何か関係あるのだろうか。それにしても冬の阿賀川の水は透き通りすぎて深緑に沈んでいて、いかにも冷たそう。子供は楽しそうに走り回っているんだが、オトーサン落ちても助けてあげられないからね(笑)。



寒い中の塔のへつり観光を終え、冬の遅い朝日がようやく阿賀川の谷に差し込んで来た頃合いで駅に戻る。戻ったのだが、まだ我々親子が乗る列車まで30分ほど時間があるので、ちょっくら駅からほど近い場所にある第五大川橋梁まで行ってみる。ようは撮り鉄して時間を潰しましょうという事です(笑)。


へつり駅から早歩き5分程度で行ける第五大川橋梁。上路ワーレントラスのいかにも渓谷映えする美しい鉄橋ですなあ。しかもワーレントラスに続いているプレートガーターが橋台に小さいトレッスルで接続されているというのもポイント高い。かように素敵なロケーションの中を、会津田島行きの単行DCが渡って行きます。

ちなみに第五大川橋梁を撮るには並走する町道の橋から撮影する事になるのですが、町道の橋に沿って垂れさがる電線が鬼のように邪魔で極めて限られたアングルしか取れないのには参る。出来れば引きで撮りたいのだが、川面に降りるしかないのであろうか。
コメント
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