(午後の日差しの中で@鬼怒川温泉駅)
午後の逆光の中、折り返しのインターバルを側線で憩うC11207。東武線内で走行するためのATSをC11に取り付ける事が出来ないため、車掌車のヨ8000に保安装置を取り付けて運行されています。東武のSLは運行距離が短い分1日3往復のダイヤが組まれていて、最終のSL大樹6号は鬼怒川温泉の発車が18時台と夜汽車の雰囲気が楽しめるのも魅力的。既に転車台で向きを変えて入換体制の準備は整っているようです。
既に転車台での転回作業は終了していましたが、鬼怒川温泉の駅ではSLの運行開始に合わせてわざわざ駅前に引き込み線を伸ばし、転車台での方向転換風景を気軽に見学できるよう観光客用に整備してあります。SLの動きや息遣いを間近で感じられるステージがこんなにきれいに整えられている事に、東武鉄道のSL大樹に対する意気込みを感じてしまいますね。
入換のC11待ちの14系客車。JR四国から持って来た車両だと言う事なので、ムーンライト高知とかで使ってた車両なのかなあ。初めて高知競馬場に行った時に京都からムーンライト高知に乗って行ったんだけど、今思えば残っているのが馬の写真ばっかりで、そういうときの移動手段(鉄道やらバスやら)の写真やら何やらが全く残っていないのが残念ではある。ちなみにJR四国から甲種で東武鉄道に持って来る時に、わざわざ原色のEF65PFに牽引させてなおかつ「寝台特急瀬戸」風のヘッドマークを付けてた演出はかなり洒落ているなと思いました。
下今市側に転線し、推進で14系客車の先頭に連結されるC11207。デビュー以降一貫して八戸や長万部などの海沿いの機関区に所属しており、海霧などで視界不良になる線区を担当する事が多かったため2灯の前照灯を搭載した独特のスタイルをしています。JR北海道でSL冬の湿原号(釧網本線)などに充当されていましたが、今回東武鉄道のSL復活プロジェクトに当たって白羽の矢が立ち、JR北海道からの借受と言う形で下野の地を踏むことになりました。
14系客車に連結され、初冬の青空に向かって高らかにスチームを噴き上げるC11207。正直北海道時代からあまり調子の良いカマではないらしく、東武鉄道への導入後もたびたび不調で運休してたりする。1941年製で御年76歳と言う事を考えると無理は効かないのかもしれない。口さがないファンには「ノウハウのない東武にSLの整備は無理だ」とか言われているようですが…
ホーム撮りの後は、子供と鬼怒川温泉駅南側の国道のオーバークロスにダッシュして発車シーンを狙います。架線柱や地上装置がやや煩いですが午後の日差しは順光、そして発車直後ですから煙のサービスカットもありますのでね。盛大とはいかなくとも発車直後のドレンを切るシーンや、安全弁から白い蒸気を噴き上げて加速していくシーンを見る事が出来ました。
冬枯れの山並みをバックに鬼怒川温泉を出発するC11207。C11+ヨ8000+14系客車+DE10というアタマっからケツまで国鉄国鉄国鉄国鉄!の編成が私鉄で成立している不思議。とりあえず東武はSLの次に三岐に譲渡したED5080を呼び戻して14系引っ張らせてみても楽しいんじゃないだろうか。SLも良いが、私鉄D級電機もマニアには需要がありますでよ。