青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

地鉄秋風絵巻

2018年09月24日 22時39分18秒 | 富山地方鉄道

(秋麗しき越中路@富山駅前)

秋の三連休は9月が2回に10月が1回。先週は駿河の国で家族サービスに勤しませて(?)貰ったこともあり、今週はちょっと一泊お暇をいただいて秋の越中路へ。行く場所の候補としては色々あったんだけど、やっぱり撮影行という事になるとカメラ関係の機材を担いで電車やバスに乗るのがちとかったるい。そうなると、クルマで行ける範囲のやや遠いところ、という事になるんだけど、結局迷った挙句富山に落ち着きました。この週末はしなの鉄道で115系の9連が走るという事でそっちへ参戦しようか最後まで悩んだんだけど、まあしな鉄くらいの距離感ならまたイベントやれば行けるだろうしね…


行くと決まったら天気が猛烈に気になって、週中はスマホで天気ばっか見てたんだけど(仕事しろ)、今年の秋は去年にも増して天候不順。傘マークが付いたり消えたりするのを眺めては一喜一憂。富山へは高速代節約のために松本から平湯・神岡経由のアプローチを取ったんだけど、R158で新島々を過ぎた辺りから猛烈に雨が降り出した。真夜中のR158をフォグランプを点灯させながら恐る恐る。まあ昔のように中の湯から安房峠までつづら折れを登って行かなくてはならない訳でもなく、カネさえ払えば安房トンネルを通って5分程度で平湯へ抜けられるのだから楽なものだ。R471で真っ暗な神岡の街を通過したあたりからさすがに眠気が出始め、午前4時の「道の駅細入」で力尽きて爆睡。まあ笹津の手前だからもう十分富山各地域へのアプローチ圏内だよな。雨は間断なく降り続き、クルマの屋根をしとどに叩く。


富山へ。となると、自分の中ではそれは富山地方鉄道(地鉄)に他ならない。富山県内に総延長100kmを誇る路線網を持ち、宇奈月・立山の観光地へ運転される特急列車群に代表されるようなハレの部分だけじゃない、日常の地域輸送を支えるケの部分の魅力にすっかり魅了されている。カメラなんか握らずクルマの中で寝ていようかなんて思ってしまうほどの降りしきる雨の中、気力を奮い立たせて今回の旅で初めに訪れたのは立山線の横江駅。土砂降りの雨に濡れた暗い朝、モノ言わず黙り込む草臥れた木造の駅舎に寝ぼけた脳ミソが叩き起こされた。直観的に、この駅は雨が似合うと思った。都会人が抱く故郷への郷愁が、止まない雨の中で色褪せて行くような感じがある。


漂う湿気と、かすかな黴臭さに包まれた待合室。アーバンとルーラル、レトロとモダン、ノスタルジーとコンテンポラリー。オモテとウラの魅力的なギャップと、蠱惑的な落差で魅了してくる富山地方鉄道。窓の桟に乗せられた旧字体の傳言板が、新たな物語の書き手を待っています。
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