青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

弘南の古老、黙して語らず

2019年02月06日 17時00分00秒 | 弘南鉄道

(白くて目が痛くなるわ@国道102号線)

弘前の駅に戻ったアタクシ。予約していたレンタカー屋でクルマを借り出し、まずは沿線のロケハンに出てみることにする。一応今日は弘前~黒石の弘南線、明日は中央弘前~大鰐の大鰐線を撮る予定にしています。もちろん、天候や運用次第では即変更のざっくりめな予定ではございますが…30分ヘッドの弘南線ですから、電車利用で撮り歩くことも不可能じゃないだろうけど、やっぱロケハンとか撮影場所までの機材の持ち運びその他諸々を考えたらクルマがあった方がいいよね。という事で、まずは弘南線の終点である黒石方面へクルマを向けてみる。雪道走りは先日の飯山詣でで一通りこなしてはいるけれど、また津軽の冬の雪道は一つレベルが高い。圧雪路で気温も低くてカッチカチ、四駆のスタッドレスでもちょっと気を抜くとズルズルいきそう。車間距離必須。おまけに周りに何も目標物のない津軽平野は白一色で、前を見ているだけで目が痛くなるのであった。

 

弘前の市街からクルマで20分ちょっと、弘南線の終着駅・黒石駅に到着しました。電車だと30分なんで正直電車より早いですが、まあその辺りは言わずもがななので(笑)。焦げ茶色のコンクリート造り、待合室のストーブの煙突が雪国の駅らしいですが、駅にはコープ生協の黒石店が併設されていて、見た目はスーパーに駅がくっついているような主従逆転の構図が見えます(笑)。朝9時から開いていたので、既に店内には買い物のお客さんが。ふと朝から何も食べてないことに気付いて、生協で菓子パンとお茶を買って朝食。

 

到着して、弘前への折り返しとなる18列車。弘南鉄道の有人駅は、発車5分前改札なのでホームにも車内にも人はおりません。いわゆる列車別改札というヤツですが、雪国の寒い地域にこの方法が多いような気がします。足元の滑りやすい寒いホームに出るよりは、改札まで暖かい待合室でお待ちくださいな、という事なのだろう。


ただ、「安全第一・不正乗車防止」という大義名分?によって、強制的にホームから締め出されてしまうという事は、こちら的にはホームからの景色がなかなか撮り辛いというデメリットがある(笑)。実は、ホームから側線に止めてある弘南線のラッセル車(キ104)を撮影したかったのだ。まあそれを言ってもしょうがないので駅の外から見学出来るところを探してみたのだが…おお、雪に阻まれてなかなか接近出来ん。ラッセルが走るなら朝のラッシュが引けた後と聞いていたので、推進動力役のED333が雪をかぶったままパン下げして何も動きのないところを見ると、うーん、今日は何もないのかなあ。あっても午後なのかな。


雪の路地を歩いて、キ104の正面側に回り込んでみました。隣のこけしヘッドマークの編成は、さっき4連の弘前側に付いて走っていた増結車だね。1往復飛んでから切り離されて、お役御免と相成ったらしい。どのみちこの停車位置ではラッセル編成をホームからは撮れなかったか。弘南線のラッセル車であるキ104は、1929年に鉄道省の苗穂工場(北海道)で生まれた、御年90歳の弘南鉄道の古老。二つの回転窓がぎょろりとした目玉のようで、確実に意思を持った生き物のようだ。鉄道車両も90を過ぎれば、人間の言葉くらいは分かるようになるんだろうな。

「ねえ、ラッセルのじいちゃんさあ。そろそろ動いてもいいんじゃない?結構雪降ってるぜ?」

と問いかけてはみたものの、キ104は漆黒の車体を雪にうずめて、初対面の不躾な問いには答えず静かに眠ったままなのであった。


動かぬ、転轍機の矢羽根。果たして私の津軽滞在の僅かな間に、動くことはあるのだろうか。空から落ちて来る雪は間断なく、天気は確実に(?)悪くなっているので、全く見込みがないわけではなかろう。後は神のみぞ知るという事だ。ここで粘っても仕方ない。ひとまず、弘南線の沿線に繰り出してみるか。
コメント
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