青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

奥美濃への誘い

2019年07月19日 20時00分00秒 | 長良川鉄道

(合掌造りのヘッドマーク@特急ひだ)

「特急ワイドビューひだ」のヘッドマーク。キハ85の非貫通型先頭車両は、くの字型の優美な姿をしていますが、ヘッドマークは前照灯上にちょこんとあるだけであまり目立つものではありません。貫通型車両だと貫通扉にそこそこ大きめのヘッドマークが付くんですけどね。飛騨地方伝統の合掌造りを模した図柄、グリーンとブルーの色味は飛騨の山々と飛騨川だろうか。

 名古屋を出て東海道本線をひた走り、約20分の岐阜でスイッチバックして高山本線に入ります。岐阜で進行方向が変わるので、ワイドビューひだの座席設定は名古屋を出る時はあえて逆向きになっています。車内放送でも「岐阜で進行方向が変わるから座席の向きを直さないでね」という旨の放送も。高山本線内も特急は100km/hは出しているのではないかという雰囲気でなかなかの快速っぷりですが、そこは単線の悲しさ、普通列車との行き違いで特急が待たなきゃいけなかったり。各務ヶ原で交換待ち。市名は「各務原(かかみがはら)市」なのに、高山本線は「各務ヶ原(かがみがはら)」、名鉄は「各務原(かかみがはら)線」、地元の高校は「各務原(かかみはら)高校」を名乗っており、マニア的には地名の読み方に一貫性がない事で有名な街ですな。

鵜沼で息子が車窓に名鉄のミュースカイを見つけひとしきり興奮した後、右手に国宝の犬山城が見えて来た。「前は鵜沼で名鉄とJRの線路が繋がってたんだ。名鉄も昔は名古屋から高山本線に直通の特急を走らせていて、夏休みの時は富山から富山地鉄に乗り入れて立山まで行ってたんだよね。」なんて子供に語る昔話。個人的にも道路併用橋の犬山橋を渡る北アルプスとか最高に撮ってみたかった被写体ですね。

鵜沼からは木曽川の日本ラインを横目に見て、ワイドビューひだ81号は定刻11:03に美濃太田に到着しました。高山本線を中心に、鉄道路線がX字にクロスする濃尾平野北部の交通の要衝です。人口5万5千人を擁する美濃加茂市の中心駅・・・ですが、駅の雰囲気はいささか寂しいような。ひだから下車したのは我々親子と残り2グループくらい。まあ、あまり観光地のようなところでもないので、しょうがないのかな。ここでいったん改札口を出まして左へ・・・

コンコースの狭い階段を降りると、そこが長良川鉄道の乗り場になります。元々は国鉄の越美南線が第三セクターへ転換されて出来た路線なので、ホームの事務所が駅舎替わり。長良川鉄道自体はワンマン化されていますが、ここでは駅の出札口を使ってフリーきっぷも買えるし、自動券売機も一応用意されていますね。

JR東海のキハ25の向こう側から姿を現した、長良川鉄道ナガラ300型。平成10年から富士重工で製造されたNDCですが、既に富士重工は鉄道車両の生産から手を引いて久しく、そこそこ車歴としては古い車両になりますでしょうか。ひたちなかにいる三木鉄道の残党とか、あの辺りと同じ形式ですね。僅か1両の気動車が、終点の北濃まで72.1kmを走ります。まず一日目は清流長良川を遡りながら、奥美濃への旅と洒落込むことにいたしましょう。

 

 

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